『ジュラシック』シリーズ初の女性主人公の声優オファーに驚き&喜び

昨年2クール連続で連続ドラマの主演を務め、今年4月期にも連続ドラマで主演するなど、快進撃を続けている松本若菜。映画『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(8月8日公開)では、スカーレット・ヨハンソン演じる主人公ゾーラ・ベネットの吹替を担当した。松本にインタビューし、本作参加の心境や自身の歩みについて話を聞いた。


巨匠スティーヴン・スピルバーグによって誕生した『ジュラシック』シリーズの新章となる本作は、シリーズ初の女性主人公で、秘密工作の専門家ゾーラ・ベネット役をアクション界の女王スカーレット・ヨハンソンが演じる。

ゾーラ・ベネット役で映画の吹替に初挑戦した松本は、『ジュラシック』シリーズという大作のオファーに驚いたと振り返る。

「『私!? どうして!?』って頭の処理が追いつかないぐらいびっくりしましたが、心からとてもうれしかったですし、精一杯やらせていただきたいなと、身が引き締まるような思いになりました」

大役への抜てきに「プレッシャーはもちろんありました」と吐露するも、自身も小学生の頃から見てきたシリーズということで、並々ならぬ気合で挑んだという。

「世界的な超大作で、ファンももちろん多いですし、私も小さい頃から見てきたものなので、『ジュラシック』シリーズ初の女性主演で、私もそこに参加させていただくというのは、すごく意味があることだなと思って気合が入りました」

本作は、恐竜のいる危険な世界で生き抜いていくサバイバル映画とも言えるが、松本は芸能界を生き抜いてきた秘訣について、「あまり気にしすぎないことですかね」と語る。

「素敵な俳優さんがたくさんいらっしゃる中で、その方たちと比べても仕方がない。自分にしかできない何かを認めながら、いただいた仕事をどれだけ自分の中に落とし込んでやるのか、そういうところにすごくやりがいを感じます」

そして、「30代前半までは周りが気になっていました」と明かす。

「周りの目も気になっていましたし、自分と誰かを比べることもあったし、オーディションで最後まで残ったけど落ちて、その映画を見て『悔しい』と思うことも何度もありました。でも、年齢を重ねて、いい意味で諦めがつくようになりました。変なプライドなどがそぎ落とされていくと、純粋にこの仕事が楽しいということしか残らなくて。肩の力が抜けたなと思うのはここ数年です」
○32歳の時の助演女優賞受賞が「大きなターニングポイントに」

演じたゾーラ・ベネットとの共通点について、「やると決めたものはやる」という信念の強さが重なるかもしれないと語る松本だが、「昔は全然違いました」と明かす。

「新しいことに一歩踏み出すのもすごく時間がかかったし、考えれば考えるほどできないという、石橋を叩きすぎて割ってしまうタイプでしたが、『たった1回の人生だし、やってみよう』と思うようになりました」

そういった自身の変化は、年齢や経験に加え、32歳の時にヨコハマ映画祭で助演女優賞を受賞したことが大きいという。

「初めて自分のお芝居が周りに評価されたというか、初めて自分の存在が認知されたような気がして、その時に腹が決まったんです。
この仕事をこのまま続けようと思えた瞬間だったので、その時から気持ちがとても楽になりましたし、さらに先に進むためにいろいろなことに挑戦する心の強さは、そのあたりで培われたのかなと思います」

それ以前は、女優を辞めようと考えたこともあったと打ち明ける。

「自分じゃなくてもいいんじゃないかと。松本若菜なんて誰も知らなかったし、ドラマに出ても自分だとわかってもらえなくて、自分のお芝居は人に残らないのかなと思った時期もありました。くじけそうな時もありましたが、踏ん張れたのは周りの人たちの支えもありましたし、タイミングよく賞をいただけたというのも、私の中では大きなターニングポイントになったと思います」

その後、一緒に仕事をしたスタッフからまた声をかけてもらうことが増え、それも自信につながったという。

「新しい出会いももちろんありますが、ご一緒したスタッフの方から、またお声がけいただくことが多くなって、“おかわり”で呼んでもらうってすごくうれしいことなんです。そういうことが32~33歳頃から増えていき、少しずつ自信がついていきました」

「焦らず、おごらず、丁寧に」というモットーを今後も大事に

昨年の7月期、10月期、今年の4月期で連続ドラマの主演を務めるなど、近年さらに存在感が増しており、そして、さまざまな役を演じて幅を広げている。

「去年から主演作を3クールやらせてもらい、それぞれ全く違う役で、台本の中に自分にはなかった感情があって、役から気づかされるものがあるなと感じています。ドラマをやっている時は、自分の人生より他の人の人生を生きている時間の方が長いので、人間としての幅は広がっているのではないかなと思います」

主演を重ねる中で現場での居方も少しずつ変化。自分がこれまで見てきた座長たちの振る舞いを参考に行動しているという。

「今まで自分がしていただいたことを返せる時だなと思っているので、自分がしてもらってうれしかったことを現場でやるようにしています。私自身、現場で声をかけてもらえるだけで緊張がほぐれたので、そういうことを心がけています」

現在41歳。今後の抱負を尋ねると、「焦らず、おごらず、丁寧に」というモットーを今後も大事にしていきたいと語る。


「環境も変わり、求められるものも変わってくると思いますが、この3つのモットーは今後も変わらないと思うので、その言葉を胸にお芝居の仕事を頑張っていきたいと思います」

最後に本作について、「陸海空それぞれの恐竜のDNAを採るというミッションを課せられ、実際にDNAを採って帰れるのかというのもありますし、仲間との出会いでゾーラの気持ちがどんどん変わっていくというのも見どころだと思います」と魅力をアピールした。

■松本若菜
1984年2月25日生まれ、鳥取県出身。2007年に女優デビュー。2009年、映画『腐女子彼女。』で映画初主演を務める。2017年に映画『愚行録』で、第39回ヨコハマ映画祭 助演女優賞を受賞。2022年には、ドラマ『やんごとなき一族』での演技が「松本劇場」と称され話題となり、東京ドラマアウォード2022 助演女優賞をはじめ数多くの賞を受賞。同年、『復讐の未亡人』で連続ドラマ初主演も務めた。2024年は、ドラマ『西園寺さんは家事をしない』『わたしの宝物』でゴールデン・プライム帯2クール連続主演を務め、2025年もドラマ『Dr.アシュラ』で主演を務めた。
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