若者を中心に返済期間を最長50年に延ばす「50年ローン」が人気となっています。返済期間が長くなると、毎月の返済額が抑えられるので、より高額な物件にも手が届くようになります。
ただし、このような超長期住宅ローンにはリスクも多いので、慎重に検討する必要があります。そこで、50年ローンと35年ローンの比較シミュレーションを入れながら、超長期ローンのメリットとデメリットを詳しく解説します。
若者に50年ローンが人気なわけ
まずは、50年ローンが若者を中心に利用者が増えている背景を解説します。
近年、都市部を中心に住宅価格の高騰が続いています。不動産経済研究所が公表しているマンション市場動向によると、2025年度上半期の首都圏の新築マンション1戸あたりの平均価格は、9,489万円で過去最高となりました。
収入がまだ低い20代30代にとっては、住宅価格の高騰が大きな壁となり、マイホーム取得のハードルが一段と高くなっています。このままでは若い世代の購入意欲が落ち込み、市場が冷え込んでしまいます。そこで不動産業界や金融機関は、若年層の需要を取り込むために、借入可能額を大きくできる超長期ローンに着目しました。借り手にとっては選択肢が広がり、金融機関にとっても長期的な収益が見込めるため、超長期ローンは双方にメリットを見出すことができます。
加えて、働き方の変化もあるでしょう。60歳定年はかつての話となり、これからは再雇用や定年延長制度、フリーランスなど働き方が多様となり、70代まで働くことを視野に入れている若者も少なくありません。50年という長期間のローンを組むことの心理的ハードルは下がっていると言えるかもしれません。
住宅金融支援機構が実施した「住宅ローン利用者調査」によると、返済期間は「30年超~35年以内」が45.8%と最も多くなっていますが、「35年超~50年以内」の割合が、前回調査と比べて、25.5%と4.6ポイント増加してます。35年を超える長期ローンの利用が広がっていることがうかがえます。
35年ローンと50年ローンの返済額と総支払額の比較
返済期間35年の一般的なローンと50年ローンの月々の返済額と総支払額を比較してみました。
<条件>
借入額: 5,000万円
金利: 2%(全期間固定)
35年ローンの場合は、月々の返済額は16万5,600円、総支払額は6,956万円になり、50年ローンの場合は、月々の返済額は13万1,900円、総支払額は7,914万円になりました。
返済期間を35年から50年にすることで、月々の返済額は3万円程度抑えられますが、総支払額はおよそ1,000万円増えます。
どちらを選ぶかは、月々の支払いを重視するか、総支払額を重視するかで判断が分かれるところです。
超長期住宅ローンのメリット
超長期住宅ローンのメリットとデメリットを整理してみます。まずはメリットからです。
月々の返済額を軽減できる
希望の住まいを手に入れられる
団体信用生命保険(団信)の保障期間が長くなる
月々の返済額を軽減できる
返済期間を長く設定することで、月々の返済額を抑えられます。その分、家計にゆとりが生まれ、教育費や子育て費用、レジャーなど将来の支出に備えやすくなります。また、返済期間をあえて長くすることで毎月の支出を抑え、その浮いた資金を投資に回すという考え方もあります。住宅ローンの金利よりも投資の利回りが上回れば、家計全体で見たときに資産形成につながる可能性があります。
希望の住まいを手に入れられる
返済期間を長くすると、月々の返済負担率を下げることができるので、結果、借入可能額を増やすことができます。借入可能額が増えれば、より条件の良い物件を選ぶことが可能です。
団体信用生命保険(団信)の保障期間が長くなる
団体信用生命保険(団信)とは、借入期間中にローン契約者が死亡または所定の高度障害状態となった場合に、保険金でローン残高を返済する仕組みの保険です。特約を付けることで、がんや三大疾病などの保障にも対応できます。返済期間が長くなれば、団信の保障期間も長くなるので、長期にわたって安心を得ることができます。
超長期住宅ローンのデメリット
次に、超長期ローンのデメリットや注意点をまとめます。
総支払額が増える
老後まで返済が続く可能性がある
売却時に"残債割れ"のリスクがある
長期間にわたる不確実性に向き合う必要がある
総支払額が増える
前出の試算のとおり、5,000万円を借り入れた場合、返済期間を50年にすると、返済期間35年よりもおよそ1,000万円総支払額が増えます。また、今回の試算では、金利は同じになっていますが、一般的な固定金利の住宅ローンでは、返済期間が長くなるほど金利が上がる傾向があり、利用する住宅ローンによってはさらに総支払額が増える可能性があります。
老後まで返済が続く可能性がある
たとえば30歳で50年ローンを組むと、完済は80歳になります。繰り上げ返済をしない限り、年金生活に入ってからも返済が続くことになり、家計への負担は小さくありません。老後の収入が限られることを考えると、長期ローンは将来を見据えた慎重な計画が必要になります。
売却時に"残債割れ"のリスクがある
長期ローンは元金の減り方がゆるやかなため、途中で売却を考えた時に、売却価格よりもローン残高が多くなる"残債割れ"が起こる可能性があります。
長期間にわたる不確実性に向き合う必要がある
50年という長い返済期間には、家族構成の変化や転職・失業による収入の増減など、さまざまなライフイベントが起こり得ます。こうした変化の中でも同じペースで返済を続けていく必要があります。さらに、変動金利を選んでいる場合は将来的な金利上昇リスクも考慮しなければなりません。長期ローンを検討する際は、これらの不確実性と長く向き合う覚悟が求められます。
50年ローンを選ぶ前に押さえておきたいポイント
以上を踏まえると、50年ローンが適しているのは、「本来であれば35年ローンでも無理なく返済できる人」が、返済負担を抑える目的で期間を延ばすケースです。返済期間を伸ばさないと借りられないほど限界まで借入額を増やすのは、将来の家計リスクを考えると避けた方がいいでしょう。
また、50年の間には転職や病気、出費増など予測できないことが起こり得ます。特に年金生活になる老後は家計の厳しさが増します。家計に余裕があるときは繰り上げ返済を活用して期間を短くし、老後を迎える前に完済しておくことを目指しましょう。
さらに、物件選びも慎重に行うべきです。長期ローンは元金の減りが遅いため、途中で売却する際に"残債割れ"が発生するリスクがあります。
50年ローンは、若いうちから住宅という大きな資産を持てるメリットがある一方で、長期間返済を続ける責任が伴います。利用を検討する際は、将来の変化を見込んだ無理のない返済計画を立てることから始めてみましょう。
石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。 この著者の記事一覧はこちら











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