東京でも最低気温が10度を下回る日が続いていますね。いよいよ冬本番です。
この季節に恋しくなるのが日本酒です。

日本酒は米、米麴、水を原料とし、日本国内で醸造された清酒のことです。大地の恵みと日本人の知恵を集結したこの飲み物は、古くは縄文時代から作られていたのだとか。

そして日本酒といえば、その楽しみ方に幅があるのも特徴です。キリッと冷やして楽しむもよし、常温でじっくり味わうもよし、熱燗でちびちびとやるもよし。特に寒くなってくるこの時期は常温や熱燗で飲めるお酒が恋しいですよね。

筆者は酒どころ・新潟県長岡市の出身で、何を隠そう大のお酒好きです。

今回は滋賀県長浜市・冨田酒造の銘酒「七本槍」の定番ラインと限定ラインの計3本を、旬の食材と一緒に冷酒、冷や、熱燗で堪能してみました。それぞれのお酒のあじわいもご紹介させていただきます。

○天文3年創業の「冨田酒造」が醸す"勝利の酒"

冨田酒造は滋賀県長浜市木之本町に所在する歴史ある酒造です。奥伊吹山系の伏流水と地元農家による減農薬栽培米をメインに厳選された原料米を使用し、少量を吟味して醸す「昔ながら」の酒造りを守り続けています。

また、滋賀県長浜市木之本町といえば、豊臣秀吉が天下取りの足がかりを築いた、柴田勝家との重要な合戦「賤ヶ岳の戦い」の舞台として知られる地域です。


冨田酒造では、その賤ヶ岳の戦いにちなんだ銘酒「七本槍」を作っています。

1583年の「賤ヶ岳の戦い」で武功を立てた豊臣秀吉の家臣、福島正則、加藤清正、片桐且元、脇坂安治、加藤嘉明、平野長泰、糟屋武則の7名の武将に与えられた称号「賤ヶ岳の七本槍」。豊臣秀吉はこの戦いを機に天下人への道を突き進んでいきます。

この賤ヶ岳の七本槍に由来し、「勝利の酒」「縁起の良い酒」として愛されているのが冨田酒造の代表銘柄「七本槍」です。
○純米酒を冷酒で「生ハムと柿のサラダ」「ハマチ、タイ、サーモンの昆布あえ」

まずは、七本鎗 純米酒を冷酒でいただきます。

焼きたてのパンやお米を炊いているときの香りに似た豊かな香りを感じます。「賤ヶ岳の七本槍」さながらの無骨でどっしりとした味わいです。酸と甘味のバランスが素晴らしく、どんなお料理にも寄り添ってくれそう。

今回はアテとして冷たい前菜を用意しました。一品目は「生ハムと柿のサラダ」です。

カットした柿にちぎった生ハム、モッツァレラチーズ、ルッコラをトッピングして、岩塩を少しと、たっぷりのオリーブオイルをあわせます。とっても簡単なのに色鮮やかでお洒落な一皿の完成。
生ハムの塩味、旨味とお酒の芳醇な味わいが見事にマッチします。

二品目は「ハマチ、タイ、サーモンの昆布あえ」。

こちらは旬のお魚と塩昆布、白ネギ、ミョウガ、カイワレと、ごま油、白ごまをマリネした一皿です。なんと言っても塩昆布がいい仕事をしてくれています。

お魚の脂をお酒がスッキリとリセットしてくれるのでどんどん箸が進みます。

○無農薬純米 無有を常温で「明太子パスタ」「ゴルゴンゾーラのクリームグラタン」

次は七本鎗 無農薬純米 無有を冷や(常温)でいただきます。

こちらは無農薬米を使って作られたお酒です。商品名「無有(むう)」には、農薬を無くす事により、農家と酒蔵双方の想いの有る、新たな価値有るモノを生む、そんな気持ちを込めたそう。

常温でいただくと、ふっくらとした穀物の香りをよりしっかりと感じることができます。味わいは酸が際立っていて奥行きがあり、なおかつ喉通りはなめらかです。

アテには明太子をたっぷり使用した「明太子パスタ」を用意しました。

日本酒をいただくのですから、あぶった明太子などでちびちびとやるのも良いのですが、この日はとにかくお腹が空いていました。
よって、明太子パスタです。明太子とバターの濃厚な旨味にお酒が負けていません。

二品目は「ゴルゴンゾーラのクリームグラタン」。

ゴルゴンゾーラチーズと新潟県三条市で育ったホクホクのサツマイモをたっぷり使ったグラタンを作りました。

ゴルゴンゾーラチーズは青カビ由来の芳醇な香りとピリッとした刺激、クリーミーで滑らかな口当たりが特徴的な食材です。これが日本酒とよくあうんです。

チーズの独特な風味、サツマイモの甘さがお酒の美味しさをより引き立てています。

海外の食材に日本酒はあわない? そんなことはありません。騙されたと思って試してみてください。お口の中でお酒に含まれるアミノ酸と、チーズに含まれるアミノ酸が複雑に絡み合い、単独で味わう以上の「旨味の相乗効果」が生まれるのです。
○純米吟醸 玉栄を熱燗で「合鴨ロースのロースト」「鴨蕎麦」

最後に七本鎗 純米吟醸 玉栄を熱燗でいただきました。

熱燗は50度前後の温度帯でいただくお酒です。
熱燗にすることでお酒の旨味や甘味が引き出され、よりふくよかな香りを感じることができます。さらに、味わいのキレ、シャープさ、力強さもより際立ったものになります。口いっぱいに広がる濃醇な香りと味わいをじっくり堪能しましょう。

この酒燗器(お酒を温めるための器具)を求め、浅草のかっぱ橋道具街を歩き回りました。歩き回った甲斐がありました。美味しい。美味しすぎる!

アテには「合鴨ロースのロースト」を用意しました。

塩をふっていい感じにローストした合鴨に岩塩、焼いた白ネギをあわせました。厚めにカットして贅沢にいただきました。言うまでもなく美味しいです。

そしてシメには「鴨蕎麦」です。

こちらも言うまでもなく美味しい。
鴨肉の旨味が染み出たお出汁が素晴らしく美味しいです。お酒との相性も抜群です。鴨肉の脂、コクとお酒のどっしりとした味わいが絶妙に調和していて美味しい。

ちなみに、鴨蕎麦の後ろに写っているのは「焼き味噌おにぎり」です。お米は新潟県見附市産のコシヒカリです。

お米農家の奥様が作ってくれたこの「古味噌」が、お酒とすごくよくあうんです。最後は味噌をなめながらちびちびとやるのが定番です。

○今年1年の終わりに「勝利の酒」を

今回は、冨田酒造の銘酒「七本槍」を、旬の食材と一緒に冷酒、冷や、熱燗で堪能してみました。どれもすごく美味しくて、さっそく追加で注文しちゃいました♪

今年も気づけばあと1カ月。この1年、叶った夢だけでなく、きっと新たに見つかった課題などがたくさんあったと思います。それも成長への第一歩。年末年始は勝利のお酒、縁起の良いお酒で乾杯を、そして年越しそばには「鴨蕎麦」がおすすめです。
「七本槍」のどっしりとした味わいに良くマッチしますよ。

寒い冬にピッタリなお酒で頑張ったご自身をねぎらってあげましょう。

みずえちゃん みずえちゃん 1989年生まれ。新潟県長岡市出身。関西外国語大学卒業後、大阪市内の広告代理店に勤務しながら、大阪北新地でキャバ嬢デビュー。現在は銀座のクラブに勤めるかたわら、フリーランスのライターとして活動している。 この著者の記事一覧はこちら
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