2026年は男性ブランコにとって「めっちゃ大事な年」「何かしらの形を持って終われる1年に」

今年結成15周年で、『M-1グランプリ』ラストイヤーを迎える男性ブランコ。平井まさあきは、芸人になる夢を抱えながら就職活動を経験し、浦井のりひろは「逃れたい一心」で芸人の道を選んだという。芸人になることを決めた経緯を改めて尋ねて返ってきた二人の言葉には、就職活動や将来に悩む人たちの心をふっと軽くしてくれる優しさがあった。
(前後編インタビューの後編)

○『M-1グランプリ』ラストイヤーへの思い

――2026年は男性ブランコ結成15周年の年ですが、どんな1年になりそうですか?

平井:めっちゃ大事な年だと僕は思っていて。というのも、『M-1』がラストイヤーになるので、賞レースに関しては一区切りになる。芸歴と同じ15年間は賞レースと向き合ってきた期間と言っても過言ではないといいますか。賞レースに泣かされ、恨むこともありながら、救われもした。結果がどうであれ、そんな賞レースとの向き合い方について、来年は状況が変わってきます。

『キングオブコント』や『ダブルインパクト』もありますが、『M-1』が終わって、次に『THE SECOND』に出るかどうか。もしかしたら、『M-1』で優勝できるかもしれない。その可能性も秘めていると思っていますし、芸人人生の一つの節目になると思います。もちろん賞レース以外の仕事も頑張っていきたいです。ただ、賞レースについては今年変わるぞという感じがしますね。

――浦井さんはいかがですか?

浦井:(平井と)同じになっちゃいますけど、『M-1』ラストイヤーなので、賞レースに区切りをつけることに向けて頑張る1年なのかなと思います。毎年、一生懸命考えたネタが否定されるような気持ちになって、本当にしんどいので(笑)。
なので、もう充分頑張ったじゃないかと思って、何かしらの形を持って終われる1年にしたいです。

――お笑いは賞レースがすべてではないと思います。ただ、挑戦し続けるカッコ良さもあると思っていて。

浦井:自分たちは出るのをやめる材料がないですよね(笑)。

平井:そうなんだよね。ただ、『キングオブコント』は芸歴の制限がないので、果てしないのですが、『M-1』に関しては、12年目くらいになると、あと3回やったら出るか……! っていうのがあります(笑)。

浦井:あと3年やったら走れるなって。

平井:そうそう。3年くらいは頑張ろうって思えるというか。息切れもしてるかもしれないですけど、走れると思ったんで。ホンマはその前にしっかり優勝するのが一番カッコいいんですけどね。

○まさかの『M-1グランプリ』2回戦敗退

――去年は、男性ブランコが2回戦敗退というまさかの結果に衝撃を受けたお笑いファンも多いと思います。


平井:そうですよ!

――ただ、その結果すらもダウ90000・蓮見翔さんと一緒にネタにされていて、お笑いっていいなと改めて思いました。

平井:イジってもらえて良かったです。『ラヴィット!』でいろんな人と関わらせてもらって、イジっていい奴らなんだと伝わってるといいますか。ヘタしたら、イジったらあかんやつになりかねない芸風なので。

浦井:このスタイルでずっと単独だけやってたら、イジりにくいと思われてしまうかもしれない。

平井:でも、我々はイジってほしいですし、「おい!」って言いますし……って、これを言うのもアレなんですけど(笑)。笑いにしてくれると、こっちもスッキリしますよね。

――上京当初、男性ブランコは尖ったコンビだというイメージを勝手に持たれていたとお話されているインタビュー記事を読みました。それが今は、お二人がどんな人かがちゃんと伝わってるということですよね。

平井:それがうれしいですよね。最初は激尖りコンビだと思われてたので。そのまま行くのもそれはそれでありなのかもしれないですけど、やっぱりワイワイしているほうが楽しい。
当時は坊主でスクエア型のメガネをかけて怖いと思われたみたいなんですけど、みんなともっと仲良くなりたいし、ネタも尖ったことないし、ただ笑ってほしいだけなのに!

男性ブランコの2人が仕事に芸人を選んだ理由

○平井まさあきが芸人になるまで

――お二人の人柄が伝わって本当に良かったです(笑)。続いて話題が変わるのですが、うちの会社が、マイナビという就職活動のサイトも運営しておりまして……。

平井:就活のときに登録してました!

――本当ですか!? ありがとうございます! なので、お二人に働くとはなんぞやというお話も伺いたく。芸人になろうと決めたきっかけを教えていただいてもよろしいでしょうか?

平井:僕はずっと芸人になりたくて。でも、高校を卒業するとき、周りにそんな選択をする人が1人もいなかったので、NSCに行く勇気が出なくて。関西の大学に進学したら、NSCにも通えると思って、関西圏にある大学を受験しました。それで唯一受かったのが滋賀の大学で、関西圏ですしNSCに通えるかと思ったんですけど、到底通えない距離で。芸人になる最後の選択肢はここしかないと思って、大学を卒業してからNSCに入りました。

――マイナビに登録していただいてたということは、就職を考えた時期も?

平井:就活を全くやらずにNSCに行っても良かったんですけど、当時は自分が本当に芸人になりたいのか、就活がイヤすぎて芸人の道を選ぼうとしているのか確証が得られなかった。でも、とにかく就活をやってみて、それでも芸人になりたかったら、それは本物だなと。就活を終えて、それでも芸人をやりたいと思ったから、内定をいただいていた会社にも正直に「芸人の夢を諦めることができなくて」とお伝えして、NSCに行くことに決めました。それをマクド会(※)で浦井に言ったら、「俺も行こうと思ってる」と。


※平井と浦井は大学時代、近況報告するために月1回、滋賀のベルロード商店街にあるマクドナルドで会っていた。
○浦井のりひろが芸人になるまで

――浦井さんも芸人になりたいという夢をずっとお持ちだったんですか?

浦井:就活のサイトを運営されている会社の方の前で言うのもアレなんですけど、働きたくなくて(笑)。僕は京都の実家から滋賀の大学に通ってたんですけど、1限目は朝7時台の電車に乗るんですね。そこでサラリーマンの方たちが満員電車で毎朝通勤しているのを見ていて、自分にはちょっとできなさそうだなと思ってしまって。

――サラリーマンの方々は勤勉ですごいですよね。

浦井:本当にめちゃくちゃすごいと思います! それが自分には向いてないし、できないだろうなと考えたときに、人前に立つのが好きですし、コントをするのも楽しかったので、そういうことが合わさった結果、逃れたい一心で芸人になったところがあります。でも、どういうことがやりたいのか、やりたくないのかを自分に問いかけるのは必要な時間だったのかなと思っていて、4年かけてそれが分かって良かった。まだ奨学金を返している最中なのですが(笑)。

○男性ブランコの2人から就職活動中の人へメッセージ

――芸人という仕事を選んだ経緯は違いますが、お二人のお話はどちらも、就職活動をしている人は励まされると思います。

平井:就職を考える年齢は人それぞれだと思うんですけど、いわゆる新卒採用の人たちの年齢だったら、本当にまだまだ何回でもやり直せます! しっかりとお金を稼ぐということも素晴らしいですし、すごいことなんですけど、それは戻る場所として取っておけることだと思うので、もしやりたいことがあるんだったら、1回やってみるのはありだと思います。本当にやり直せるから。

浦井:NSC在学中や芸人1年目の時に、同期が途中でキッパリとやめていくんです。
それで就職する。

平井:それもいいよね。

浦井:そう! 自分が働くということを決めるための必要な時間じゃないですか。

平井:あとは、おばあちゃんっていうピン芸人がいるんですけど、おばあちゃんみたいに全部やり終えてから、芸人になる人もいる。だから例えば、もし芸人になりたいけど、恋人から「絶対にイヤだ!」と反対されてしまって、芸人になるのをそこでやめても、定年までしっかりと勤め上げてから、芸人になるっていう回収の仕方もあると思いますね。

■プロフィール
男性ブランコ
浦井のりひろ(1987年12月3日生まれ、京都府出身)、平井まさあき(1987年8月1日生まれ、兵庫県出身)によるお笑いコンビ。大学時代に演劇サークルで出会い、2010年、大学卒業後に2人そろってNSCに入学。『キングオブコント2021』で、ザ・マミィと同率で準優勝し、一気に注目を集める。『M-1グランプリ2022』でも決勝に初進出した。木曜隔週レギュラーを務めるTBS系『ラヴィット!』などに出演するほか、ドラマ・舞台など俳優としても活躍の幅を広げている。
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