伊原は西武打線を4回無失点に抑えた(C)産経新聞社

 阪神のドラフト1位左腕、伊原陵人(NTT西日本)の存在感が増してきた。

 11日の西武とのオープン戦(ベルーナドーム)に1軍初先発となった伊原は先頭の長谷川信哉を遊飛、続く西川愛也を左飛といずれも直球で打ち取ると、新外国人のタイラー・ネビンには安打を許すも、続く長距離砲のレアンドロ・セデーニョからは137キロのカットボールで空振り三振を奪う。

【阪神ドラフト1位】伊原陵人が1軍初先発で4回無失点!!『容赦無く右打者の内角を攻められる投手』残り1枠の先発ローテは勝ち取れる?高木豊が解説します

 2回も三者凡退に抑え、3回は二死から長谷川に右前打を許すも、西川を中飛に打ち取り、ここも無失点。4回もセデーニョに安打を許すなど、二死満塁のピンチを迎えるも最後は是澤涼輔を再びカットボールで遊ゴロに打ち取り、4回3安打無失点。最速145キロの直球を軸に変化球とのコンビネーションで、西武打線を封じ込めた。奪った12アウト中、10がフライアウトだったことも注目された。 

 今回は1軍初先発で4回無失点、ここまで実戦3試合で計7回無失点と着々と結果を積み上げている。

 開幕ローテ入りも視野に入ってきた注目左腕に関して、球界内からも考察の声があがっている。

 現役時代は大洋(現DeNA)で活躍、引退後は日本代表コーチを務め、現在は野球解説者として活躍する高木豊氏は11日に自身のYouTubeチャンネルに「【阪神ドラフト1位】伊原陵人が1軍初先発で4回無失点!!『容赦なく右打者の内角を攻められる投手』残り1枠の先発ローテは勝ち取れる?高木豊が解説します」と題した動画を更新。11日の西武戦の伊原のピッチング内容を解説している。

 試合の中ではピンチもあったとしながら高木氏は伊原のピッチングに関して「右バッターに関して、インサイドの突っ込みかたがうまいね」とコメント。

 西武の右打者へしっかり内角を攻められた点を評価、「インサイドをポンポンと突っ込んでいって、(バットを)振らせないんだよね」「やっぱここ(内角)の精度がいいね」と投球の強みになっているとした。

 その上で今後に向けての課題も指摘。「内角を生かしながら、外に抜き気味の球が精度よく決まると勝てるピッチャーかな」とコメント。


 
 ほかにも「低めを丁寧につけるピッチャー」として、「ほとんどのものができあがっている」と高く評価した。

 今後、順調に成長したら、2桁勝利を記録したときの伊藤将司のような技巧派左腕となることも期待できるとした。

 「コントロールがいいピッチャーだから、大けがしない」「球の出所が見えにくい」として、「今日の投球からすると合格」と開幕ローテ入りも十分、ありうるとした。

 この日の伊原の内容には藤川球児監督も及第点を与えた。ほかの先発枠を争う投手陣との兼ね合いもあるが、逆転で背番号18の開幕ローテ入りも浮上してきた。

 チームではこの試合で伊原の後を継いだ育成から支配下となったばかりの工藤泰成の快投も注目された。ほかにも先発枠をめぐって、ともにプロ3年目シーズンとなる門別啓人、富田蓮らもアピールを続けている。果たして新たな左腕帝国を築くことはできるか。いずれにせよ、虎党にとっては楽しみな春となりそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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