この春、大谷は笑顔を絶やさず、茶目っ気のある表情を見せている。(C)Getty Images
スターが居並ぶ“銀河系軍団”ドジャース。
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一挙手一投足が日々のニュースとなり、お茶の間の娯楽となる。それは今に始まった話ではないが、年々プレッシャーは高まっているようにも思える。だが、今春の大谷は笑顔が目立ち、リラックスした様子をグラウンド上では見せている。
重圧すらも楽しめているようにすら見える大谷。その変化は指揮官も感じ取っている。現地時間3月11日に米YouTubeチャンネル『Dodgers Territory』に出演したデーブ・ロバーツ監督は「今、我々はショウヘイの“最高の姿”を見ている気がしている。選手としても、そして人間としてもね」と断言。さらに「50-50もやって、MVPにもなった去年も凄いシーズンだった。間違いなく世界最高の選手だ。でも、東京に向かう今の彼の状況は本当に誰も想像できないレベルのものだ」と強調した。
今の大谷を「最高」と論じる理由は何か。百戦錬磨の指揮官はこうも続けている。
「去年の春も我々はソウルで開幕戦を迎えた。そこで通訳が変わったことで、自分の言葉で話し始めたショウヘイは、より『ショウヘイらしく』なったと思っている。彼自身が独立した男として成長したことは我々コーチ陣にとって、そして何よりもチームメイトたちにとって素晴らしいことだった」
昨春に水原一平元通訳による違法賭博スキャンダルが発覚。球界のみならず、お茶の間は騒然となった。ただ、ロバーツ監督曰く、大谷の自立を促した世間を激震させた事件が成長のキッカケになったという。
「ファンやメディアもようやく本来のショウヘイというか、彼の『普通の姿』を見られるようになったと思う。それまでは英語を第二言語にしていたから壁があって、メディアやチームメイトとも少し距離もあった。つまり本当の彼を理解する機会が少なかったと思う。でも、今は違う。本来の彼の人格が表に出始めたことで、その才能も発揮されてきている。
水原被告との事件後にチームの中で打ち解けはじめたという大谷。指揮官の言うコミュニケーションの改善は、予期せぬスキャンダルがもたらした産物だった。
今季は二刀流の完全復活も目論む大谷とドジャース。「どれだけ時間がかかっても問題はない。これは彼も納得している方針だ」と話すロバーツ監督は、「私は彼がどんな進化を見せるかが本当に楽しみだ」と話した。
仲間との間にあった壁が崩れ、より“素の顔”を見せ始めている大谷。そんな偉才の活躍ぶりに注目せずにはいられない。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]