東京に舞い戻った大谷。ドジャースにとってグラウンド内外で彼の価値はかなり高まっている。

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チームは家族やガールフレンドの帯同を許可

 いよいよ“銀河系軍団”が来日した。3月13日にカブスとの開幕シリーズに臨むドジャースナインが羽田空港に到着。厳戒態勢の中でメディアの前に姿を見せた大谷翔平や山本由伸、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンらは、現地スタッフによる歓迎を受けた。

 ついに羽田空港に降り立ったドジャース。その様相は日米両メディアで大々的に報じられ、早くも「ドジャース狂騒曲」の幕開けを感じさせる。

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 球界屈指の人気を誇る選手たちは、約12時間のロングフライトに加え、大勢のメディアやファンに追われるプレッシャーに苛まれる。開幕興行とはいえ、少なくないフラストレーションを想像してしまうが、ドジャースナインの中で「日本遠征に不満不平の声は一つも寄せられていない」という。米全国紙『USA Today』のボブ・ナイチンゲール記者がリポートした。

 デーブ・ロバーツ監督曰く、球団が2014年に実施した豪州遠征の際には多くの苦情が噴出。しかし、今回は、別々のホテルに宿泊予定ながら選手たちの家族やガールフレンドの帯同を許可。特別な観光やディナーを計画しており、チームからは来日を楽しみにする声が上がっているという。

 今回のドジャースの来日を「まるで1960年代のビートルズのような感じになる。その人気は、マイケル・ジョーダンを擁する92年バルセロナ五輪のドリームチームか、ビヨンセとテイラー・スウイフトが同じステージに立つようなものか」と独特な表現で伝えたナイチンゲール記者は、こうも記している。

「ドジャースとカブスの2試合は、野球史上最も人気がある試合になるかもしれない。日本全国は大騒ぎする準備が整っている。ドジャースのスタン・カステン球団社長は、『球場は1億人を収容できない。ショウヘイ、ヨシ、ロウキを見たい日本人の数は、だいたいそれくらいだ。日本での試合は、これまで球界が経験したことのない歴史的な意義がある。日本では毎日、ワールドシリーズの優勝パレードのような歓迎を受けるだろう。まさに桁違いな出来事になる』と語った」

球団にとって興行成功のカギを握る男は――

 無論、最大級の関心を集めるのは、大谷だ。今や球界のアイコンとも言うべき存在となった天才は、球団にとっても興行成功のカギを握るキーマンの一人である。

 こと日本における大谷の価値を熟知するナイチンゲール記者は、「ビルほどの大きさのオオタニの看板があり、どの店にも彼の商品が並んでいる」と強調。さらに「ドジャースのマーケティング担当者によると、オオタニのスポンサーだからという理由だけで、日本の野球ファンの約85%がニューバランスのスニーカーを履いているそうだ」と驚きの実情も伝えている。

 実際、ドジャースが日本ひいてはアジア市場を重要視しているのは、昨今のマーケティング戦略からも明らかだ。来日直前には、新潟の日本酒ブランド『八海山』を製造する「Hakkaisan 八海醸造株式会社グループ」とのスポンサー契約締結を発表。

これを自身のXで伝えたナイチンゲール記者も「ドジャースが東京に上陸し、資金がどんどん流入している」と目を丸くした。

 チームメイトたちにとっても、「ビートルズ級」とされる来日興行はかけがえのない経験だ。『USA Today』の取材に応じたマイケル・コンフォルトは「みんな興奮しているよ。なぜなら、これは一生に一度の機会だからね。僕ら日本のファンが野球をどのように受け入れているかを知っている」と語った上で「きっと狂気の沙汰になるだろうね」と期待した。

 また、「(日本は)誰もが遊びたい場所だ」としたテオスカー・ヘルナンデスも、「絶対にクレイジーなことになる。向こう人々がショウヘイにどういう反応するのかを見るだけでもとてもワイルドな気持ちさ。僕らはみんなそれを見るのを楽しみにしているんだ」と興奮気味に話している。

 もはやとどまることを知らない「ドジャース・フィーバー」。大谷、山本、そして佐々木朗希が絡むことで、人々の関心を高めている狂騒はどのような盛り上がりを見せるのか。来日後の“大暴れ”を興味深く見守りたい。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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