猛暑に耐えながら、トイレ臭の海水を遠泳する。まさに地獄絵図だ。


 1年後の東京五輪に向けて、水泳競技「オープン・ウオーター・スイミング」のテスト大会が11日、東京・お台場海浜公園で開催されたが、参加選手から苦情が相次いだ。

 約1時間を泳いだ複数の選手が「正直、くさい。トイレみたいなニオイがする」と証言。想像してみてほしい。トイレの悪臭がする海水を口の中に含んで、息つぎを繰り返す。ニオイの発生源は水質汚染。

気になってレースに集中するどころではないだろう。

トイレ臭の海水を遠泳?お台場での水泳・OWSの五輪テスト大会...の画像はこちら >>

2013年まで海水浴禁止

 お台場はもともと、ゴミの埋め立て地が近く、海水汚染や異臭のため2013年まで海水浴禁止とされていた。解禁後も水質が不安定で「海水に顔をつけない」という条件付きだった。

 近年は水質浄化に取り組み、大腸菌検査では基準値を下回っているという。

 今大会でも細菌の侵入を防ぐため、約400メートルにわたって「水中スクリーン」と呼ばれるポリエステル製の膜を張り、レース会場の水域を囲った。苦情を受け、五輪では膜を3重に増やす予定というが、肝心の悪臭を取り除くことができるかは不透明だ。

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泳ぎながら熱中症?

 ニオイに加えて、熱中症問題も深刻だ。

ある選手は「水温も気温も高く、日差しも強くて過酷だった。こんな高い水温で泳いだことはない。泳ぎながら、熱中症になるんじゃないかという不安が拭えなかった」と漏らした。

 国際水連は、競技実施の条件として会場の水温を16度以上31度以下と定めている。この日は午前5時の時点で29・9度。そのため午前10時だった男子の開始時間を、女子とほぼ同じ午前7時に前倒しした。

テスト大会で距離短縮の5キロでも悲鳴が上がったのに、本番は10キロ。危険度はさらに高まる。

 国際水連は実施時間を午前5時に早めるなど協議しているが、どれも〝対症療法〟でしかなく、焼け石に水。選手ファーストで考えるのであれば、水質と熱中症のリスクが少ない会場への変更を本気で考えなければいけないだろう。

 草大会ならまだしも、全世界が注目するオリンピック。クサイものにフタをして、恥をさらすのか? 日本の「汚点」とならないように、抜本的な対策が急務だ。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]