――戦ってみて、井上選手は何が優れていると感じましたか。
河野 すべてです。スピード、パワー、技術……すべてがすごい。
パンチのパワーに関しては左ジャブが他の人の右と同じぐらい強かったし、右は他の人の3倍ぐらい強かった。いまはもっと強いでしょうね。それに、こっちが打ちに行っても、そのときには彼はそこにいないし。僕は相手が打ってきたら打ち返すという戦いが多かったんですが、井上選手は打ち返そうとしたときには(パンチが当たる位置に)いませんでした。ポジションの取り方も巧いですね。僕は世界戦を10回やりましたが、あんな選手はいませんでした。ラウンドの後半には連打してきたし、気持ちも強いですね。あとボディ打ちも巧いしフィジカルも強い。軸がしっかりしているから体がぶれないんでしょうね。とにかくすべてが図抜けています。
――その試合から4年。井上選手はさらに強くなったと思いますか。
河野 僕と戦ったときはスーパー・フライ級でしたが、それから階級を上げてパワー、スピードなどさらにすごくなったと感じます。僕と戦ったときとは比べものにならないぐらい強くなっているんじゃないですか。
――昨年11月のノニト・ドネア(フィリピン/アメリカ)戦では9回にパンチを浴びてピンチもありました。
河野 あれはビックリしましたね。でも、技術力は上がっていると思います。
――あえて、いまの井上選手の課題を探すとすると?
河野 少しガードが下がるところはあるけれど、課題というほどではないでしょうね。