オンラインで会見するアルファタウリの角田裕毅(リモート動画から)

 F1に参戦するアルファタウリの角田裕毅(21)が7日、オンラインで記者会見し、ルーキーシーズンだった昨季はトライアンドエラーの繰り返しだったと振り返った。

 開幕戦バーレーンGPでは9位でゴールし、日本人初のデビュー戦入賞を果たしたが、同時に過信を呼んでしまい、第2戦エミリアロマーニャGP(伊イモラ)では予選でクラッシュ。

そこから「負のスパイラルに落ちていった」という。

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 F2時代からセッション前に、5分間、自分の時間をつくって、頭の中で理想的なラップをシミュレーションをするというルーティンをしていたが、序盤にクラッシュが続いたため、コース図に注意すべきポイントなどを書き込んだりするなど余計な意識が働いてしまったという。

 「どこでクラッシュしちゃいけないとか、どうやったらクラッシュしないように走れるかを考えてシミュレーションしてしまっていた。なので、それを1回やめた」という。実際にそのアプローチで走行するとペースが予想以上に遅くなってしまい、理想のドライビングにつなげることができなかった。

 「いろいろなアプローチを試したが、最終的に元に戻ったという感じ。

F2とかバーレーンで行っていたアプローチに戻した」。それが10月の第16戦トルコGPだった。そのタイミングでシャシーも交換し、マシンの挙動でようやく開幕戦のような好感触を得ることができた。

 その後も試行錯誤を重ね、負のスパイラルが消えだしたのは残り3戦となったブラジルGPからだった。このレースでは入賞を果たせなかったが、走り始めからペースを上げ、手応えもつかみ、最終戦アブダビGPでは自己最高位の4位でフィニッシュ。1年目は入賞7回、シリーズランキング14位で終え、「ホンダの最終年ということもあり、自分も結果を出したかった。

ホンダさんへの感謝を胸に走って、最後に4位で終われたので本当に良かった」と振り返った。

「負のスパイラル」を断ち切ったF1・角田裕毅 2年目への抱負とは

昨年の最終戦アブダビGPを走行する角田裕毅のアルファタウリ・ホンダ(ホンダ提供)


 ホンダは昨季でF1から撤退したが、自身が所属するアルファタウリは兄弟チームのレッドブルとともに、ホンダのパワーユニットをベースにした仕様で新シーズンを戦う。ただし、来季は車両規則などが大幅に改められ、車体のダウンフォース量も少なくなるほか、タイヤも18インチホイールに変更。どのような勢力図になるか見当もつかないという。

 「今年はクルマが大きく変わるので、クルマも含めて分からないことが多い。『表彰台を狙いにいきます』と言いたいが、今年の開幕戦と同じで自信を持ちすぎて同じような結果になりかねないので」と決して大口はたたかない。


 「開幕戦ではポイントをまずは狙えるように頑張りたい。チームメート(のピエール・ガスリー)を倒せるようにというのが大きな目標。ルーキーイヤーではないので言い訳は通用しない。死に物狂いで戦いたい」。不言実行で2012年日本GPで3位に入った小林可夢偉以来、10年ぶり4度目の日本人表彰台を目指す。

[文/中日スポーツ・鶴田真也]

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