現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(NHK総合ほか)、3月に最終回を迎えたテレビアニメ『平家物語』(フジテレビほか)と、立て続けに描かれる平家一門の物語が話題を呼んでいる。そして5月28日には、新たに“平家に連なる物語”を描く映画『犬王』が公開される。
両作で明かされなかった知られざる物語を謳い、時代のスターダムを駆け上がる2人の少年の友情を通して“平家”の魅力に迫る。
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平安末期、その絶大な権力と支配力で栄華を築くも最後はその地位を追われ、壇の浦で壮絶な最期を迎えた平家一門。日本史においてもドラマティックな歴史を持ち、栄枯盛衰と諸行無常の物語は多くのファンを持つ。
■“平家”の名に翻ろうされた人々を1人の少女視点で描く『平家物語』
『平家物語』は、平清盛率いる平家が権力・武力・財力、あらゆる面で栄華を極めようとしていた平安末期を舞台に、平家の一族として生き、その名と栄華に翻ろうされた人々の諸行無常の物語を、未来を見通す能力を持つ琵琶法師の少女・びわの視点から描くテレビアニメ。
平家の娘として生まれ、何不自由なく育つものの、代わりに政略の道具として扱われ波乱万丈の人生をたどる平徳子、平家の将来を憂う聡明な清盛の嫡男・平重盛、そしてそれぞれの道を選ぶ重盛の息子たち。歴史上多くを語られることのない平家の人間の生き様を、平家滅亡の運命を知るびわが見届けていく。
大古典『平家物語』を、『けいおん!』『聲の形』の山田尚子監督、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の脚本・吉田玲子らが再構築した本作。物語が進むにつれ、滅びると知っているからこそ登場するキャラクターたちが愛おしくなる、平家の人々の内側を個性的に描き出した感動作だ。
■野心溢れる武将たちの人間ドラマ『鎌倉殿の13人』
現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では、平安末期を舞台に圧倒的なカリスマ性を持つ平清盛(松平健)率いる平家一門が、源頼朝ら敵対する武将たちから追い詰められ、徐々にその地位から陥落していく姿が描かれる。
宿敵である源氏・北条家を主人公にした作品において、清盛は傲慢でありながらも貴族の世をひっくり返し、武士の世に基礎を築いた英雄として描かれた場面には「平清盛をちゃんと稀代の英雄扱いしていてうれしい。リスペクトがある」「実際、清盛は英雄」など多くの反響を呼んでいる。
後の鎌倉幕府の権力者となる北条義時(小栗旬)を主人公に、源平の熾烈な戦いと鎌倉幕府が誕生する過程で繰り広げられるパワーゲームを、喜劇王・三谷幸喜らしいユーモアを交えた人間ドラマとして描く。
■平家に連なるもうひとつの物語が明かされる『犬王』
本作の舞台は、『平家物語』で描かれた源平合戦から200年後。『鎌倉殿の13人』で描かれる鎌倉幕府も、その後に覇権を握った北条家も滅び、その物語が琵琶法師たちによって過去の伝説として語り継がれる室町時代だ。
かつて戦に敗れた平家の骸や遺物が今も海中に眠る壇ノ浦に暮らしていた少年・友魚(ともな)は、偶然にも海中から見つけ出した三種の神器のひとつ“草薙の剣”を見つけるが、その剣の呪いによって両目の視力を失ってしまう。ひとりで都へと向かう盲目の友魚は、途中で出会った琵琶法師の弟子となり、自らも琵琶法師として平家の物語を語り継ぐことになる…。
そんな友魚が偶然出会ったのが、猿楽能の一派“比叡座”の棟梁の子・犬王。異形のためひょうたんのお面をつけられたまま疎まれて育ったが、その逆境をものともせずに見よう見まねで能を学び、特異な体つきと生まれつきの才能を生かして人とは違う舞を舞いはじめる…。
2人は言葉よりも先に琵琶と踊りで共鳴し意気投合。当時の琵琶法師たちの語りでは明かされない、歴史に忘れ去られた物語を型破りなショーと共に披露し、一気に時代のスターダムを駆け上がっていく。
メガホンをとったのは、アニメの鬼才・湯浅政明。脚本には『アンナチュラル』をはじめ、『罪の声』『MIU404』で名バディを描いてきた脚本家・野木亜紀子。キャラクター原案には『ピンポン THE ANIMATION』でも湯浅監督とタッグを組み、原作小説の表紙も手掛けた松本大洋。歴史監修は『鎌倉殿の13人』『平家物語』でも風俗考証・歴史監修を務める佐多芳彦。
はみ出し者の2人の少年が時代の頂点へと駆け上がるサクセスストーリーと友情を描く本作。『鎌倉殿の13人』で描かれる武士たちのドラマティックな絆、『平家物語』の諸行無常の切なさを兼ね備えながらも、室町時代×ロック・ミュージカルという新たな世界観で語られる“知られざるもうひとつの物語”に注目が集まる。
映画『犬王』は5月28日全国公開。
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