映画ファンならずとも誰もが知っているSFファンタジーの金字塔『E.T.』が、今夜の土曜プレミアムにお目見えする。スティーヴン・スピルバーグ監督の代表作としても知られる本作は、今年で公開40周年を迎えた。

「E.T. オウチ デンワ」して帰る手伝いをした彼らは今、どうしているのか。

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 本作は、10才の少年エリオットと、地球にたったひとり置き去りにされた宇宙人E.T.との物語。1982年に公開されると世界中で大ヒットを記録し、第55回アカデミー賞では作品賞はじめ9部門にノミネートされるなど、作品としての評価も高い。まさに不朽の名作と呼べる一作。リアルタイムで観ていなくても、指と指を合わせてE.T.ごっこをしたり、空飛ぶBMXに思いを馳せた記憶はあることだろう。

★ヘンリー・トーマス(エリオット役)

 E.T.と心を通わせる孤独な少年エリオットを演じたのは、公開当時11歳だったヘンリー・トーマス。この役で大ブレイクし、ゴールデングローブ賞と英国アカデミー賞の新人賞にノミネートされた。映画公開後はあまりの過熱ぶりに対応できず、引きこもってしまったそう。

 落ち着いた後は、地元テキサスで学校に通う傍ら、ゆったりペースで仕事を続け、『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』(1994)にブラッド・ピットの弟役で抜擢される。以降も、マーティン・スコセッシ監督の『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)や、『親愛なるきみへ』(2010)など、映画やテレビドラマで活躍。直近ではNetflixのドラマ『真夜中のミサ』などに出演し、2019年にはユニバーサル・ピクチャーズの関連会社のCMで、大人になったエリオットを演じている。

 プライベートでは3度結婚し、最初の妻との間に生まれたヘイゼルちゃんと、今の妻アンナリー・トーマスとの間に生まれたイヴリンちゃんとヘンリーくんの父親でもある。
インスタグラムを覗いてみると、子どもと一緒のプライベート写真や、本作関連の投稿もちらほら。

★ドリュー・バリモア(ガーティ役)

 本作出演者の中で一番の出世頭は何といっても、小さな妹ガーティを演じたドリュー・バリモア。ぺらぺら何でも話しちゃうガーティに、イライラさせられた人は少なくないハズ。

 ハリウッドの名門一家に生まれたドリューは、幼い頃から活躍し、7歳の時に出演した本作で天才子役として一躍スターに。しかし、この後プレティーンにしてアルコールやドラッグに手を出しリハビリ施設に入所するなど、大荒れの少女時代を送る。

 自分を利用する実母と14歳で決別したドリューはスピルバーグ監督を父のように慕い、この大暴れの時代にも親交を続けた。1995年にPLAYBOY誌でヌードになった際には、監督からCover Up(隠せ)と書かれたキルトと、誌上のドリューに合わせて作った着せ替えパーツをプレゼントされたそう。

 20代になると持ち直し、『25年目のキス』や『チャーリーズ・エンジェル』シリーズなどヒット作に出演。自身の制作会社を立ち上げたほか、『ローラーガールズ・ダイアリー』(2009)で監督デビューも果たした。また、コスメやワインのブランドを経営するなど、ビジネスパーソンとしても成功している。

 2020年からは、トークショー『The Drew Barrymore Show(原題)』のホストを務め、『E.T.』からも、スピルバーグ監督やディー・ウォーレスがゲスト出演し、ミニ再会を果たした。プライベートでは、3度目の夫ウィル・コペルマンとの間に娘が2人いる。


★ロバート・マクノートン(マイケル役)

 エリオットの兄で、ティーンエイジャー真っ只中ながら、母を思いやる優しい一面を持つマイケルを演じたのは、ロバート・マクノートン。当時舞台で主に活躍していたものの、オフブロードウェイに出演中、キャスティングエージェントの目に留まり、オーディションのためにロサンゼルスに。残念ながらその作品には選ばれなかったが、代わりに出演が決まったのが本作だった。

 本作出演後も、映画やテレビ、舞台で活動を続けたが、30代でオーディション三昧の生活に見切りを付けて引退を決意。一度は郵便配達の仕事に就いたが、その後再び俳優に復帰し、『THE MUMMY VS FRANKENSTEIN マミー VS フランケンシュタイン』(2015)や『ある殺し屋 KILLER FRANK』(2015)などに出演している。

 プライベートでは、ドリュー・バリモアの紹介で知り合った女優のビアンカ・ハンターと2012年に結婚し、ビアンカの連れ子3人と実子合わせて4人の子どもがいる。

★ディー・ウォーレス(メアリー役)

 E.T.を匿う3きょうだいの母で、夫と別居中(恋人とメキシコにいるらしい)であることに傷心のメアリー。演じるディー・ウォーレスは、1970年代からテレビドラマや映画で活躍し、キャリア初期はホラー映画のスクリームクイーンとして知られる。

 本作のあとも大小さまざまな作品に出演し、その数は、映画だけで100本以上、テレビ番組と声の出演やクレジットされなかったものを含めると250を超える。日本でも、Amazonのキッズ向けドラマ『まほうのレシピ』や、『9‐1‐1:LA救命最前線』などで姿を見ることができる。またスクリーンの外では、自己啓発本を手掛ける作家やヒーラーとしての顔も。

★マシュー・ド・メリット(E.T.中の人)

 そして忘れてはならないのが、大きな目をしたしわくちゃの宇宙人、E.T.。
今では想像できないが、当時E.T.はラバー素材の人形と、中に入る3人の俳優で作り出された、非CGの“リアル宇宙人”だった。3人のうちの1人、マシュー・ド・メリットは当時11歳で、エリオット役のヘンリーと同年代。生まれつき脚のない彼は、理学療法のためにUCLAのメディカルセンターに通院しており、担当医の紹介で本作に抜擢されたそう。家族の留守中、勝手にビールを飲んで酔っぱらって大騒動になるシーンは見どころの1つだが、あのE.T.こそがマシューだ。本作出演後は、劇場未公開のSF映画などに出演したのち、大学で英語を教えたり、車いすバスケットボールの選手にもなった。

 メガホンをとったスピルバーグは、70代になってもいまだその意欲は衰え知らずで、昨年も『ウエスト・サイド・ストーリー』が公開されたばかり。今年4月に開催された公開40周年の記念イベントには、監督を中心に、ヘンリーやディー、マシューら出演者とスタッフが一堂に会した。参加しなかったドリューは、スピルバーグ監督と娘達と一緒に、個人的にお祝いしたそうだ。40年経っても映画同様、色褪せない人の繋がりがあるようだ。(文:寺井多恵)

 映画『E.T.』は、フジテレビ系「土曜プレミアム」にて5月14日21時放送。

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