15歳でモデルとなり、17歳でNYコレクションにてランウェイにデビュー、以来一線で活躍し続け、モデル25周年を迎えた冨永愛。9頭身を誇る抜群のスタイルと、美しい切れ長の瞳に圧倒的なオーラと培った技術で、世界を股にかけるモデル、そして俳優である。
【写真】“吉宗”冨永愛の堂々とした佇まい 圧巻の御鈴廊下など『大奥』フォトギャラリー
■時代劇はかねてよりの念願「勝手に練習してました」
江戸パラレルワールドの、すべての始まりである“奇病・赤面疱瘡”の撲滅に動き出す稀代の名君・吉宗を冨永愛が演じると発表されるや、SNS上では「ぴったり!!」の声が飛び交った。冨永も自らのイメージが吉宗に合っていると自覚していた。
「原作を読ませていただいて、自分が演じるなら吉宗だろうなと感じました。吉宗のキャラクターと冨永愛のパブリックイメージが似てるんじゃないかと。スパっとキリっと英断して男勝りだったり。ただ大役ですから、違う役かなとも思ったのですが、家光は絶対にないし、綱吉もないだろうし…。まあ、側用人の可能性はあるかなとも思いましたけど、やっぱり『吉宗です』と。驚きましたが『頑張ります』としかなかったです」と振り返る。
ドラマ『グランメゾン東京』(TBS系)や『ドクターX ~外科医・大門未知子~7』(テレビ朝日系)など、俳優としても仕事を重ねている冨永だが、なかでも時代劇出演はかねてよりの希望だった。
■吉宗を演じるうえで一番難しかったのは「歩き方」
だが、時代劇出演を切望してきたものの、実は「男役で出るつもりだった」と冨永は言う。「俳優もさせていただくなかで、時代劇に出たいと思うのは自然な欲望でした。歴史小説を読んだり、着付けを習ったり、いろいろしてきましたが、では自分がどんなキャラクターができるのかと考えると、まず反物が足りないなと。私が着物を作るときって、男の反物で仕立てるんです。幅が足りないので。既存の着物はサイズがないから、沖田総司のような『実は女だった』説の人とか。
とはいえ、凛々しい立ち姿は想像がつくが、世界のトップモデルと着物姿の女将軍では、やはり違いもある。冨永も「一番難しかったのは歩き方です」と口にする。そして「歩き方って生き様だと思っている」と断言した。
「普段、私はヒールを履いてランウェイを歩いています。その歩き方と、時代劇の歩き方は全く違います。武術が達者な人物としての歩き方もあると思います。具体的にはつま先を使わずに常に重心を真ん中に置くとか。
■見どころはやっぱり御鈴廊下 名馬バンカーに乗る場面も
よしながふみによる原作は、2004年の連載当初から大きな注目を集めた。江戸時代、謎の流行り病により男子の人口が急速に減少。男女逆転という大きな「嘘」をベースにしながらも、史実をきっちり組み込み、人の葛藤や愛を見つめたドラマチックな要素を描いて、第13回手塚治虫文化賞マンガ大賞ほか多くの賞を受賞。人気と評価を得て、映画版やドラマ版も作られた。
本ドラマでは、脚本に『JIN―仁―』、大河ドラマ『おんな城主 直虎』、連続テレビ小説『ごちそうさん』、『義母と娘のブルース』の森下佳子を迎え、3代将軍・家光の時代から、初めて幕末・大政奉還までを描く。その幕開けとなるのが、男女逆転大奥の謎に迫る徳川吉宗×水野祐之進編である。
「第1回での見どころは、まず御鈴廊下を歩いてくるシーンです」と力を込める冨永。「吉宗らしさが出ていますし、水野(中島裕翔)と出会うシーンでもあります。とても面白いんじゃないかと。あとは乗馬のシーンが入っています。
最後は「でも本当にちゃんとできているか、吉宗になれているか、不安を抱えながら、1月10日の放送を、胃薬を飲みながら見ていると思います(笑)」と笑わせたが、瞳の奥には自信がのぞく。冨永ならではの名君・吉宗に期待が高まる。(取材・文:望月ふみ)
ドラマ『大奥』は、NHK総合にて1月10日より毎週火曜22時放送(初回15分拡大)。