吉高由里子×北村匠海共演&脚本・大石静のタッグで17日にスタートするドラマ『星降る夜に』(テレビ朝日系/毎週火曜21時)。このドラマでは北村扮する一星が操る“手話”が重要なモチーフとして描かれる。
【写真】矢田亜希子、“お兄ちゃん”豊川悦司と2ショット 『愛していると言ってくれ』思い出すファン続出
◆酒井法子が薄幸のヒロインに 『星の金貨』(日本テレビ系)
手話をモチーフに取り入れたテレビドラマの先駆け的な作品といえば、1995年4月にスタートしたテレビドラマシリーズ『星の金貨』(日本テレビ系)が真っ先に挙げられる。このドラマは、親の愛を知らずに育った聴覚障がい者のヒロイン・彩(酒井法子)が苛烈な運命に巻き込まれていく姿をつづった純愛ラブストーリー。
第1話では、彩と医師の秀一(大沢たかお)が北海道で出会って恋愛へ発展していく様子が描かれ、クライマックスで2人は結婚を決意。しかし第2話では、秀一が東京の空港で事故に巻き込まれたことから記憶を失ってしまうという急展開に。そして心配して北海道から駆けつけた彩は、秀一の腹違いの弟・拓巳(竹野内豊)と出会う。以降は彩・秀一・拓巳の三角関係を軸に、大病院の覇権争いや血生ぐさい事件・事故が頻発。視聴者をジェットコースター級の衝撃へと導いていく…。
彩を演じた酒井の迫真の演技と“元祖・ドロキュン”ともいえそうなストーリー展開が好評を博した本作。酒井が手話を交えて歌う主題歌「碧いうさぎ」も大ヒットし、96年には3人のその後を描いた続編『続・星の金貨』も放送された。
◆豊川悦司×常盤貴子主演 恋愛ドラマのマスターピース『愛していると言ってくれ』(TBS系)
『星の金貨』が最終回を迎えた1995年7月に、入れ替わるようにスタートしたのが、豊川悦司と常盤貴子を主演に迎えた『愛していると言ってくれ』(TBS系)だ。
リンゴの木の下での偶然の出会いを経て、惹かれあっていく晃次と紘子。手話とFAXで互いの距離を縮め、時にはぶつかり合いながらも2人が愛を深めていく様子を豊川と常盤が抜群の演技力と瑞々しいたたずまいで表現。本作は第6回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で最優秀作品賞、主演男優賞、主演女優賞などを総なめした。
また本作は、新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年5月~6月に「特別編」として再放送。ケータイやスマートフォン登場前夜の、もどかしささえ感じる晃次と紘子の恋模様が再び注目を集めることに。特に劇中で晃次役の豊川が見せた手話やタバコを吸う仕草は、その手や指の美しさが多くの視聴者を魅了した。
◆同名コミックを実写化した特番ドラマシリーズ 『君の手がささやいている』(テレビ朝日系)
1997年から2001年にかけて、1年に1本のペースで特番ドラマシリーズとして製作・放送されたのが、菅野美穂と武田真治が共演した『君の手がささやいている』(テレビ朝日系)。本作は1992年から1996年にかけて漫画雑誌「mimi」(講談社)に連載されていた軽部潤子による同名コミックが原作で、実写ドラマは1997年から2001年にかけて年1回製作・放送された全5話のドラマシリーズとなっている。
主人公は、菅野演じる美栄子。彼女は生まれながらにしてほとんど音が聞こえない聴覚障がい者だ。
障がい者と健常者のカップルが結婚し子どもをもうけ、家族として絆を深めていく過程が丁寧な筆致でつづられる本作。健常者が見落としがちな、障がいを持つ人々の困難を、説得力のある物語で視聴者に提示した。
◆妻夫木聡×柴咲コウ主演の青春群像劇『オレンジデイズ』(TBS系)
名作『愛していると言ってくれ』を手がけた北川悦吏子が脚本を担当し、主演に妻夫木聡と柴咲コウを迎えたのが、2004年4月期放送のドラマ『オレンジデイズ』(TBS系)。大学卒業を1年後に控えた5人の若者たちが、恋や進路に悩みながらもひたむきに生きていく姿を描いた青春群像劇だ。
社会福祉心理学を専攻する4年生・櫂(妻夫木)はある日、キャンパスでバイオリンを演奏する沙絵(柴咲)と出会う。彼女は将来を嘱望されたバイオリン奏者だったが、海外留学中に病気を患い、聴覚のほとんどを失っていたのだった。手話のできる櫂や彼の友人たちとの温かい交流を通じて、沙絵は次第に心を開いていく。
大学最後の1年間という特別な時間をドラマチックに描いたストーリーが視聴者の共感を集めたのはもちろんのこと、本作では、柴崎扮するヒロイン・沙絵のキャラクターが出色。周囲のサポートを得ながら、自分の力で未来を切り拓こうと奮闘する彼女の力強さが感動を呼んだ。
◆川口春奈×目黒蓮共演 2022年の話題作『silent』(フジテレビ系)
最後に紹介するのは2022年屈指の話題作となった川口春奈×目黒蓮共演のラブストーリー『silent』(フジテレビ系)。登場人物たちの機微を丁寧にすくいとった描写やセリフをシナリオで表現した新人脚本家・生方美久にも注目が集まった。
紬(川口)と想(目黒)は高校時代に交際していたものの、想から一方的に文字だけで別れを告げられてしまう。そこから8年後。紬と想は東京で偶然の再会を果たすことに。紬は思いを伝えるものの、想は困惑した表情を浮かべながら手話で答えを返すのだった…。
物語は、紬が若年発症型両側性感音難聴を患った想と図らずも出会い直すことから始まる。音のある世界で生きる紬と音のない世界で生きる想が、時にすれ違いながらも絆を紡いでいく姿に多くの視聴者が感動。また中途失聴者の苦悩や聴者とろう者の恋といったシリアスなモチーフを盛り込んでいる点や、ろう当事者の俳優を起用している点でも話題となっていた。
(文:スズキヒロシ)