恐竜映画の決定版『ジュラシック・パーク』。マイケル・クライトンの人気小説を基にスティーヴン・スピルバーグ監督が映画化し、今も続く人気シリーズのオリジンの物語だが、公開はなんと1993年。

オリジナルキャストは今、どうしているのだろうか。

【写真】1作目公開から31年! 『ジュラシック・パーク』キャストのあの頃と今を見比べ

■サム・ニール(アラン・グラント博士役)

 パークの安全性を確かめるため、オープン前に招待された3人の識者たち。古生物学者のグラント博士を演じたサム・ニールは公開当時45歳だったが今や76歳になった。『ジュラシック・ワールド 新たなる支配者』(2022)でシリーズにカムバックしたほか、英国アカデミー賞受賞のドラマ『ピーキー・ブラインダーズ』(2013~2022)で主人公の天敵を好演、同郷タイカ・ワイティティ監督の『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)と『ソー:ラブ&サンダー』(2022)にもカメオ出演するなど幅広く活躍中。アメリカで今年配信されたドラマ『Apples Never Fall(原題)』では、名優アネット・ベニングら豪華キャストと共演している。

 その一方で、昨年、血液ガンのひとつである血管免疫芽球性T細胞リンパ腫を患っていることを公表した。しばらく寛解状態が続いているものの、薬が効かなくなる日が来ると話していたが、死よりも引退の方が恐怖と語り、今も元気にしている様子。昨年はじめに発売した自伝『Did I Ever Tell You This?(原題)』によると、本作の公開年からワイン事業Two Paddocksを経営。今年5月には、ニュージーランド産ウールを推進するCampaign for Wool NZのアンバサダーにも就任した。

■ローラ・ダーン(エリー・サトラー博士役)

 グラント博士のパートナーで、恐竜の糞に手を突っ込むこともいとわない古植物学者のサトラー博士を演じたのは、『マリッジ・ストーリー』(2019)で自身2度目のオスカーを受賞、ママ友の秘密を描いたドラマ『ビッグ・リトル・ライズ』(2017~19)でエミー賞を受賞したローラ・ダーン。ほかにも『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(2017)や『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)、『ジュラシックワールド 新たなる支配者』(2022)など話題作に出演しており、昨年はテイラー・スウィフトの「Bejeweled」のMVにも参加した。

 近年はプロデュース業にも進出しており、最新作のAppleドラマ『パーム・ロワイヤル』では父で名優と知られるブルース・ダーンと共演を果たした。
プライベートでは、グラミー賞受賞ミュージシャンの元夫ベン・ハーパーとの間に子どもが2人おり、22歳の息子エラリー・ウォーカーはモデル&ミュージシャンとして活躍。昨年高校を卒業したばかりの娘のジャヤもエンターテイメントの世界に興味があるようで、母出演の短編映画『The Good Time Girls(原題)』(2017)ではアシスタントとして衣装協力、2021年のインディーズ映画『Teenage Emotions(原題)』では主演している。

■ジェフ・ゴールドブラム(イアン・マルコム博士役)

 数学者のマルコムを演じるジェフ・ゴールドブラムは、『ザ・フライ』(1986)でハエと融合する科学者を演じてブレイクし、本シリーズには3作目と4作目を除く4作品に出演。『グランド・ブタペスト・ホテル』(2014)や『マイティ・ソー バトルロイヤル』(2017)などの映画で活躍する傍ら、『ウィル&グレイス』(2005)や『LAW&ORDER クリミナル・インテント』(2009~10)などテレビドラマでも姿を見ることができる。ディズニープラスのドキュメンタリー『ジェフ・ゴールドブラムの世界探求』では、本シリーズや『インデペンデンス・デイ』(1996)で定着した博士キャラを生かした。ブロードウェイの人気ミュージカルを映画化する『ウィキッド』(2024年12月公開予定)ではオズの魔法使いを演じるので、こうご期待。

 スクリーンの外では、2018年にアルバム『ザ・キャピトル・スタジオ・セッションズ』をリリースし、ジャズピアニストとしてデビュー。プライベートでは、カナダの体操元オリンピック選手エミリー・リヴィングストンとの間に子どもが2人いる。

恐竜ワールドを駆け抜けた子どもたちの“今”は?

■リチャード・アッテンボロー(ジョン・ハモンド役)

 恐竜をこの世に蘇らせたい! という純粋すぎる動機でジュラシック・パークを建設、結果的にカオスを生んだ実業家のハモンド。演じたリチャード・アッテンボローはイギリス出身で、弟は動物学者のデヴィッド・アッテンボロー。1942年に映画デビューし、『砲艦サンパブロ』(1966)と『ドリトル先生不思議な旅』(1967)でゴールデン・グローブ賞を受賞。名監督としても知られ、『ガンジー』(1982)でアカデミー監督賞を受賞した。


 以来監督業に専念していたものの、本作出演を機に俳優としての人気が高まり演技に復帰した。『34丁目の奇跡』(1994)や『エリザベス』(1998)などに出演し、『あの日の指輪を待つきみへ』(2007)で最後のメガホンを取った後、2014年に90歳でこの世を去った。1945年から生涯連れ添った女優シェリア・シムとの間に子どもが2人、孫やひ孫も誕生している。

■アリアナ・リチャーズ(アレクシス・マーフィ<愛称:レックス>役)

 ハモンドの孫娘で、緑のゼリーの震えで恐竜に気が付くシーンがアイコニックなレックス。演じたアリアナ・リチャーズは、子役として数々の作品に出演し、『トレマーズ』シリーズでは怪物に追われる少女を熱演している。

 弟ティム役のジョセフ・マッゼロとともに第2弾『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(1997)にも出演したが、大学卒業を機に女優業から離れ、現在はアーティストとして活躍中。人物画と風景画で知られ、スピルバーグもオフィスに彼女の作品を飾っているそう。

■ジョセフ・マッゼロ(ティモシー・マーフィ<愛称:ティム>役) 

 レックスの弟で、恐竜大好きキッズを代表する存在ティム。演じたのは、一大旋風を巻き起こした『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)で、クイーンのベーシスト、ジョン・ディーコンにふんしたのが記憶に新しいジョセフ・マッゼロ。5歳でデビューして以来ずっとハリウッドで活躍し、本シリーズのほかにも、スピルバーグ製作総指揮のドラマ『ザ・パシフィック』や映画『ソーシャル・ネットワーク』(2010)に出演している。監督とは手紙のやり取りを続けるなど今も親交が深いが、『ボヘミアン・ラプソディ』での変身ぶりに気づいてもらえなかったとも明かしている。

 近年では『アメリカン・クライム・ストーリー』のシーズン3でクリントン元大統領の顧問ポール・ベガラを演じたほか、昨年はアメリカで主演映画『Unexpected(原題)』も公開された。
芸歴が長いためか、プライベートは極秘を貫いている。

ジュラシック・パーク崩壊のきっかけとなったアイツは声優としても活躍

■ウェイン・ナイト

 ソーダ片手にパソコンを操る巨漢のシステムデザイナーで、金欲しさにパーク崩壊のきっかけをつくったネドリー。演じたのは、ドラマ『となりのサインフェルド』(1992~1998)で主人公の天敵を演じたウェイン・ナイト。本作の後も『ヘイル、シーザー!』(2016)や『ナルコス』(2015~2017)など大小スクリーンで活躍し、声優として『カンフーパンダ』シリーズなどにも出演。直近の作品にAmazon Primeのドラマシリーズ『ゼム:ザ・スケア』がある。

 プライベートでは、2006年に結婚した映画編集者クレア・ナイトとの間に息子リアムが誕生。息子も声優として活動しており、妻が編集を担当した『カンフーパンダ3』では親子で声の出演を果たした。

■サミュエル・L・ジャクソン

 ジュラシック・パークの頼れるチーフエンジニア、アーノルドを演じるのは『アベンジャーズ』シリーズのニック・フューリー役でおなじみのサミュエル・L・ジャクソン。スパイク・リー監督やクエンティン・タランティーノ監督の常連で、本作の翌年公開の『パルプ・フィクション』(1994)でアカデミー賞助演男優賞にノミネート、『ジャッキー・ブラウン』(1998)ではベルリン国際映画祭で男優賞を受賞した。『ミスター・ガラス』(2019)のM・ナイト・シャマラン監督や『キングスマン』(2014)のマシュー・ヴォーン監督にも愛され、ほかにも『ダイ・ハード3』(1995)、『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』(1999)、など大作映画に数々出演し、2022年にアカデミー名誉賞を授与された。

 昨年末に75歳の誕生日を迎えたが、大学時代に知り合ったラターニャ・リチャードソンと1980年に結婚。先月行われた『パルプ・フィクション』公開30年のイベントでも、仲睦まじいツーショットを見せた。
娘のゾーイはテレビプロデューサーとしてデイタイム・エミー賞を獲得するなど活躍している。

 今も唯一無二の恐竜映画シリーズとして人々の心にあり続ける『ジュラシック』シリーズ。2025年夏にはキャスト・監督を新たに第7弾として戻って来る予定。監督は『ザ・クリエイター/創造者』のギャレス・エドワード、主演はスカーレット・ヨハンソンとジョナサン・ベイリーという豪華な布陣に期待が高まる。ますます拡大を続ける『ジュラシック』シリーズから目が離せない。

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