岡田将生中井貴一による“最強のくせ者ナース・コンビ”が帰ってきた! 2022年に放送され好評を博した『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系/毎週木曜21時)の続編が17日にスタートした。2年ぶりのタッグとなる岡田&中井に話を聞くと、劇中さながらの掛け合いで、最高のバディぶりを見せてくれた。



【写真】インタビュー中も息ぴったり! 仲良く笑顔を見せる岡田将生&中井貴一

◆用語や所作に難しさを感じるも、医療もの挑戦にやりがいを実感

 『ドクターX』の中園ミホによる本作は、優秀だがプライドが高く感じの悪い那須田歩(岡田)と物腰は柔らかいが大うそつき(?)の九鬼静(中井)が、フリーランスの看護師として、卓越したスキルと生きる哲学をもって患者とその家族、周囲の医療従事者をも救っていく痛快医療ヒューマンドラマ。前作のラストで病に倒れた静を救おうと、手術のために共にニューヨークに旅立った2人のその後が描かれる。

――2年ぶりのコンビ復活となりますが、2人の掛け合いの感覚はすぐに取り戻せましたか?

岡田:最初は不安があり、監督にも「戻るまでに時間がかかるかもしれません」と言っていたんです。でも、第1話冒頭の静さんと歩の長回しの会話のシーンでクランクインだったので、トップギアで入らないといけず、一気に戻ってきました。

中井:容赦のないスケジュールでした…。

岡田:一言目からドラマの愚痴じゃないですか!(笑)

中井:撮影初日は普通慣らしていきましょうという感じで始まるんですけど、いきなり2人のドーンとした長回しのシーンから始まって。でもそれが功を奏して、2人の関係性を思い出すことができたので、逆に良かったですね。

――台本を読まれての感想は?

岡田:2年経っていても、自分の体の中には『ザ・トラベルナース』という作品が組み込まれているんだなと感じました。中井貴一さんはずっと尊敬する俳優さんですし、この2年間で自分が見て経験してきたことを、また貴一さんの胸を借りてやれることがうれしいなと思いながら読ませていただきました。

中井:DNAに刻まれたというか、1度その役を経験すると、体の中に小さな火種が残っているんですね。台本を読むことによって、その火がまたふわーっと大きくなっていく感じがありました。ただ今回、静は広島弁だけじゃなく、タガログ語を話すシーンがあったので驚きましたけど(笑)。
俳優は常に挑戦していかないと前進できないという気持ちがあるので、新しい経験を頂いたと思って台本を読みました。

――医療用語が大変なので、医療ものは避けたいという俳優さんもいらっしゃいますが…。

中井:僕たちの仕事は、例えば弁護士役をやる場合は法律用語も難しいですし、なんでも難しいんですけど、いまここに2人がいるということは耐えられたんでしょう(笑)。ダメならお断りしますものね。前回の放送時には、病院に行って採血するときに、ナースの方が「中井さん、観てます」と言って喜んでくださったんです。「ナースが生き生きしてる」って。男性でナースになりたいという人が増えてきたというお話も聞きました。そういう思いを背負っているという気持ちはどこかにあります。そのためには、僕たちは苦労してもやらなきゃいけないのかな、それが僕たちの仕事の意義なんじゃないかと岡田くんと話してます。

岡田:ナースの監修の方のもと、ナースの所作や行動もなるべくリアルを目指してやろうという思いが現場にあるんです。より真摯にみんなで作っていくという作業は前回も今回もいい時間で。とても難しいことではあるんですけど、やりがいは強く感じます。
僕も病院で「歩ちゃんに採血する日が来るなんて思いませんでした! とても採血しやすい腕です」って手を震わせるナースの方に会いました(笑)。そういうコミュニケーションも含めて、また本作をやらせていただけるのはすごくうれしいです。

中井:その医療用語が大変だって言ったのは誰ですか? 岡田くんはですね、オペを英語でやるんです! 英語の日常会話の芝居でも大変なのに、オペをすべて英語でやるんですよ! なぁ?

岡田:(笑)。それは今助けていただいているのか、ハードルを上げているのか、どっちなんですか?

中井:両方!(笑)

◆中井貴一が贈る、35歳の岡田将生へのメッセージとは?

――今回、前回から変えてみようと思うところはありますか?

中井:なるべく同じにしようと思ってます。「こんな感じだった? こんな感じだったよね?」と、お互い確認しながらやっている感じですね。バージョンアップできるところがあればしていくでしょうし、今回はメンバーも昔のままでありながら、新しい方たちも入ってくださっているので、きっと良い化学変化が起きていくと思うので、そこも楽しみですね。

岡田:(歩は)こんなに失礼だったかな…って思いました。

中井:そう?

岡田:前作の第1話はあのテンションなんですけど、最終話を演じたころには、(2人の関係が)変化してあそこまではやってないんですよね。それが2年間でゼロに戻り、静さんにまたこんなきついことを言って生意気だなと…。

――この2年、岡田さんは『虎に翼』、『ラストマイル』などさまざまな作品で大活躍でした。中井さんはそんな岡田さんをどのようにご覧になっていましたか?

中井:うれしいですよ! 前作のお話を頂いた時も、岡田くんとだからとお引き受けしたのがこの『ザ・トラベルナース』でした。そういう意味では、僕に言わせれば、岡田くんが活躍するのは当たり前ですね。


岡田くんは人間性がみんなに愛されているというのは大前提としてあるんですけど、彼はとっても不器用で、なんでもフランクにやれるというわけじゃない。その鬱積みたいなものが芝居の中で爆発してると思ってるんです。彼は自分で“怒り”って言うけれど、僕は自分の中の鬱積なのかなと。演じていくなかで、答えの出ない疑問や葛藤が生まれ、悩めば悩むほど、それが芝居に活きていくタイプの俳優さんだと思っているんです。共演していても、いい芝居をしていると感じた時は、そのいろいろなものが溜まってるんだと思うことも、どこかにあるんです。その反発みたいなものが表現に出ている。面白いシャウトの仕方というか、割と古風なシャウトの仕方で。それが逆に今っぽく見えるのではないかなと思うんです。

岡田:うれしいです。ありがとうございます。

――岡田さんは、中井さんをずっと尊敬する俳優さんとおっしゃっていましたが、中井さんのどんなところに惹かれるのでしょうか?

岡田:それこそ人間性もですし、貴一さんの人との関わり方、現場の居方、作品への関わり方も含めて全部です。10年以上前に映画でご一緒させていただいた時もずっと感じていたことなんですけど、前回ドラマの時は3ヵ月弱一緒にやらせてもらうことで、より一層そういう部分を見させていただいた。
今回は貴一さんを見て学んできたことを、逆に見せられたらいいなと思っています。

――岡田さんは今年35歳を迎えられました。中井さんがご自身の35歳のころを思い返して、今の岡田さんに何か言葉を贈るとすると、どんなメッセージになるでしょう?

中井:なんとなく35歳くらいって、いろんなものが客観的に見えてくるころ。35になると、新人・若手というくくりから“中堅のはじまり”になって、一段扱いが変わってくる。そういう節目がこの先いくつもあると思います。

俳優をやっていると「今しかできないものを」みたいなことをよく言われるんですけど、「役者に今しかできないことはないのでは? あと10年くらいしてもできるのでは?」と思ってたんです。でも、今しかできないことって確かに存在するんですよね。35の岡田くんにしかできないものがあるので、なるべくそういう仕事と出会って、年相応に変化していってもらいたいです。だって、まだ見つめ合って「愛してる」とかあるでしょ?(笑)

岡田:ありますね。

中井:僕らの世代だとないわけで。ああいう青春の「愛してる」はもう言わないんだなと思うと、その年代にやらなければいけないものを十分に演じていってもらいたいなと思います。

岡田:今言われて思い出したのが、10代のころ学園ものに出演することが多かったんです。
その時、同世代の人たちは、学園ものをやり続ける俳優と、いったんどこかで区切りをつけてスーツを着たいという人が出てきて。タイミングで僕はスーツを着て頑張ってやっていたんですけど、もう少し制服を着たかったなって思ったりしてるくらいなんですよね。20代前半にも新人の会社員とか、新人の警察官とかよくやらせていただきましたが、今35歳っていうのは何ができるんだろう?ということは常に意識していますね。今頂いた言葉を胸に、精一杯自分と向き合って頑張っていこうと思います。

(取材・文:佐藤鷹飛 写真:上野留加)

 ドラマ『ザ・トラベルナース』は、テレビ朝日系にて毎週木曜21時放送。

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