1月からも様々なタイプのTVアニメが放送開始となったが、とりわけ異彩を放ち、「ワケがわからない!」「でもとにかく続きが見たくなる!」とその衝撃度と中毒性が話題になっているのが、『少女革命ウテナ』『輪るピングドラム』の幾原邦彦監督によるオリジナルアニメ『ユリ熊嵐』だ。

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 「ショーック!」。
思わずそう言いたくなる衝撃度だ。1話冒頭では、手を握り、瞳を潤ませながら見つめ合う少女・紅羽と純花が登場。間違いなく“百合”だ。エロいほどに百合だ。そこに突然、“クマ警報”が鳴り響く。クマがヒトの世界に侵入し、ヒトが襲われたのだという。
奇妙なタイトルはなんの暗喩かと思いきや、ストーリー開始から1分ほどで、ガチで“百合”と“クマ”のアニメであることが明らかになる。

 学園にはキュートでソフトエロな雰囲気たっぷりの少女二人が転校してくるが、なんとこの二人は少女の姿に化けた人喰いグマ。そして、唐突に始まる裁判シーン。「ユリ承認~!」との掛け声で変身してみせるなど、怒涛の展開が押し寄せる。 これまでも難解なストーリー展開と唯一無二の世界観でファンを魅了してきた幾原監督作とあって、大きな注目を集めた本作。1話放送後は、ネット上でも「予想以上にぶっ飛んでいた」との感想が飛び交っていた。
 一人、一人と学園の少女たちが実はクマであることが判明するなど、ワケがわからないことだらけだが、そこに確実に存在しているのが学園内に漂う不穏で残酷な空気だ。少女たちの間では、「透明な嵐」といった意味深な言葉が連呼される。どうやら常に群れて過ごし、透明な存在でいればクマに襲われないらしい。つまりこの学園では、脱・個性化こそ善。好きなものを「好き」とはっきり意思表示するような他人に流されない存在は悪であり、排除されるべきものなのだ。

 カラフルでかわいらしい絵柄と謎を詰め込んだ不可解な世界観が目を引くが、このように「自己とは?」といった現実的でグサリと突き刺さるメッセージが込められているのが幾原作品の真骨頂。
唐突に始まる裁判シーンは、『輪るピングドラム』の「生存戦略」シーンを彷彿とさせる。

 謎だらけだったあらゆるフラグが回収され、驚きの結末で感動を誘った『輪るピングドラム』。『ユリ熊嵐』にはどのようなラストが待ち受けるのかが楽しみでならない。是非とも暗喩的表現に想像をふくらませ、「ショーック!」と言いながら、謎に身を委ねてみては。

 『ユリ熊嵐』は、毎週月曜日24時30分よりTOKYO MXほかにて放送中。