現地時間13日にパリで起きた同時多発テロのニュースが世界を震撼させる中、映画『パンズ・ラビリアンス』や『パシフィック・リム』などで知られるギレルモ・デル・トロ監督が、実父が誘拐された経験を自身のツイッターで語った。

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 「テロの目的は憎悪を引き起こすことだ」というツイートと共に、8つのツイートで自身の体験を語ったデル・トロ監督。
デル・トロ監督の実父フェデリコ氏が、メキシコ・グアダラハラの犯罪者に誘拐されたのは、映画『ミミック』撮影中の1997年。The Wrapによると、友人ジェームズ・キャメロンの助けによって100万ドル(約1億2000万円)の身代金が支払われ、フェデリコ氏は72日後に解放されたという。
 
 「8つのツイートに綴る思い出。父がさらわれた時、私にとって大きな痛みを抱えた時期となるが、2人の警察官が我々に会いに来た。彼らは2つの提案をした」

 「1つめは5000ドル払えば、椅子に縛られた誘拐犯のいる部屋に入れてくれるというものだった。我々にパイプを提供し15分間犯人たちとの時間をくれるという」

 「2つめの提案は1万ドルで犯人達を襲撃した際に彼ら全員を必ず殺し、その姿を収めたポラロイド写真をくれるという」

 「私達はノーと返事した。
どちらの提案にも受け入れないと。憎しみと痛みを感じていたが、暴力の輪に入りたくなかった」と、デル・トロ監督は“裏取引”に応じなかった当時の心境を吐露している。

 誘拐から72時間後に犯人が逮捕され父親が解放されてから何ヵ月も過ぎた頃、デル・トロ監督は同じような体験をした家族がレストランに集まり、食事をしながらそれぞれの体験を共有したという。食事の間、テーブルの端に集まる人達がおり、何かと思ったら誰かが写真を出したそうだ。しかし、デル・トロ監督は写真を見ることはなかったという。「誰かが(警察に)払ったのか」と思ったそうだが、その答えを知りたくなかったとのことた。


 デル・トロ監督は「このような時期に、暴力が暴力を生むような時に、私はあの日のことを思い、叡智と強さを祈る」と締めくくった。