『あさが来た』の千代役で注目度が一気にアップした小芝風花、実写版『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』の“めんま”役で注目された浜辺美波、映画『ちはやふる』の大江奏役で出演する上白石萌音…昨年から今年にかけて期待の女優として名前がよく挙がる彼女たち。
3人には共通点がある。それは2011年に開催された大手芸能プロのオーディション入賞者であることだ。

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 現在大手芸能プロで大規模なオーディションを開催しているのは「全日本国民的美少女コンテスト」を運営するオスカープロモーション、「ホリプロタレントスカウトキャラバン」を主催するホリプロ、「東宝シンデレラオーディション」を主催する東宝芸能、数年ごとに全国オーディションを開催するアミューズなど。

 小芝がグランプリに輝いた『ガールズオーディション』はオスカーが2011年にのみ開催。この年は東日本大震災が起こった年で、自粛ムードでビッグオーディションが少なかった。『国民的美少女コンテスト』も開催を発表されながら翌年に延期している。
『ガールズオーディション』はその代替的な形で比較的小規模で行われた。

 当時14歳だった小芝。武井咲の妹分を選ぶという主旨で行われた同オーディションでグランプリ受賞後、テーマ通り、ドラマ『息もできない夏』で武井の妹役でデビューしている。その後も人気ドラマ『GTO』の生徒役や、『魔女の宅急便』の実写映画で主人公・キキ役など、話題作に出演しているもののお茶の間レベルの知名度には至っていなかったが、『あさが来た』で一気に知名度がアップした。

 上白石萌音、浜辺美波の二人は「第7回 東宝シンデレラ」の同期。上白石が審査員特別賞、浜辺はニュージェネレーション賞を受賞している。
上白石は『Shall we ダンス?』の周防正行監督作『舞妓はレディ』で主演、今年は映画『ちはやふる』で主要キャストに抜擢。浜辺は昨年9月に放送された実写版“あの花”で本間芽衣子(めんま)役が話題になり、同年10月からの連続ドラマ『無痛~診える眼~』では事件の鍵を握る少女・南サトミ役を演じ注目された。 それにしてもビッグオーディション出身者というのに、5年前の入賞者がようやくブレイクの兆しというのは、いささか時間がかかりすぎではないか…という印象を持つ人も多いかもしれない。

 大手芸能プロのオーディションでは、グランプリになると主演映画やCDデビューなどの特典が用意されるケースもあるが、華々しくデビューできたとしても、それだけでお茶の間レベルの知名度を得るのは難しい。

 すでに人気のあるアイドルグループのメンバーとして活動する場合や、トーク力やキャラクターが際立ちバラエティで活躍できる人は早い段階でブレイクできるが、女優・俳優や、ソロアーティストの場合はブレイクするまでに時間を要する。たとえば『ホリプロタレントスカウトキャラバン』出身者の中でも特に出世している綾瀬はるかも、ブレイクまでに約5年かかっている。


 自社制作の作品や自社所属タレントが主演を務める作品では大きな役に送り込めるが、それ以外の作品では、基本的には他の若手とともにオーディションを受けて役を勝ち取っていくことになる。本当の勝負はそこからなのだ。

 小芝は青春もの、群像劇への出演が多かったが、集団の中でキラリと光る存在感を発揮し評価されていった。浜辺はアニメ原作のファンが多い“あの花”でファンを満足させる芝居を見せ、上白石も作品で「あの子は誰?気になる」と思わせる存在感を残し、女優として着実に歩を進めてきた。

 2011年組以降では、「アミューズオーディションフェス2014」でデビューし『あさが来た』に“ふゆ”役で出演した清原果耶、「全日本国民的美少女コンテスト」の2012年グランプリで『表参道高校合唱部』にレギュラー出演した吉本美憂らがおり、長い目で今後の活躍に期待したい。