ポケモン史上もっとも熱いバトルを描いた、最新作『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』。実に19作目のポケモン映画だ。
夏の風物詩ともいえる本シリーズ全作品に、ゲスト声優として出続けている声優がいる。数々のアニメ、洋画吹替で活躍する山寺宏一だ。今回は、映画公開に先駆けて、山寺に本作の魅力を語ってもらった。

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 本作は、運命の絆で結ばれたサトシと幻のポケモン・ボルケニオンと、超カラクリ都市・アゾット王国の大臣ジャービスとの、未知なる力を秘めた人造ポケモンをめぐるバトルを描いた作品。

 1998年に公開された『ミュウツーの逆襲』から、19年に渡ってポケモン映画に出演し続けた山寺は、自身を「応援隊長」と話す。そこには、「ポケモンの良さをお伝えする役割を担っていると思っている」という自負があるのだ。


 その自負の元となっている存在が『おはスタ』だ。『おはスタ』は、テレビ東京系で放送されている子ども向けバラエティ番組。山寺は2016年4月に同番組を卒業するまで、番組開始当初から18年半に渡ってメインMCを務めた。「『おはスタ』のお話をいただいたときに、ポケモンなどを紹介する番組と説明を受けたんです。僕はポケモンと共に歩んできた感じがします」。

 ポケモンに深い思いを抱く山寺は、本作では主人公サトシと対立するアゾット王国の大臣・ジャービス役を務める。
山寺は「一番悪い奴」と自身の役柄を説明する。「悪役でも野望を持ち、自分の中の正義を持っているというキャラクターもいますが、今回は、本当に悪い奴って感じです(笑)。逆にやっていて楽しいですよ」。

 また、今回、同じくゲスト出演している松岡茉優は、元「おはガール」(『おはスタ』の日替わり女子アシスタント)。山寺とは『おはスタ』以来の共演となる。「共演できて、嬉しかった」という山寺は、「収録時には最初の1時間だけ顔を出して、見守りました」と明かす。
「(松岡)茉優は、洋画の声優はやったことがあるんですよ。その時は、『何も教えることねーよ』って言いながら1時間半ぐらい電話で話しましたね(笑)。うまくこなしていましたけど、今回はアニメなので、慣れるまでは大変だったと思います」。 まさに心強い大先輩である山寺は、今回の収録時にも、アドバイスを贈ったそうだが、それは「ちょっとアドバイスしたら、音響監督からそれ違うって言われたんで、もう黙っていようと(笑)」と裏目に出てしまったと苦笑い。とはいえ、「順応性がすごい。言われたことはパッとわかりますし、繊細な要求にもちゃんと対応していた」と松岡の声優っぷりを大絶賛した。


 19年という長い年月を経ても、色あせることのないポケモンシリーズ。では、その魅力はどこにあるのだろうか。
 
 山寺は、「ポケモンと人間の関係」と分析する。「ポケモンは友達や家族のように近い存在。人間とは違う生き物だけど、ペットよりも近い距離感がある。トレーナーとポケモンの関係は、言葉では説明できない関係です」。
本作では、そんなポケモンと人間の絆が描かれる。「ボルケニオンとサトシは、不思議な絆で結ばれていて、それが原因で大変なことになってくる。全編を通して、描かれる絆は見どころの一つです」。ポケモン世代には、憧れであるポケモンと主人公たちの関係。彼らの絆を本作でも堪能したい。(取材・文・写真:嶋田真己)

 『ポケモン・ザ・ムービーXY&Z「ボルケニオンと機巧(からくり)のマギアナ」』は7月16日より全国公開。