早くも全米で『アナと雪の女王』、『トイ・ストーリー3』の最終興収を超え、世界中で大ヒットしているディズニーピクサーの最新映画『ファインディング・ドリー』。日本でも満を持して公開され、大きな反響の声が上がっている。
大ヒット必至といわれている中で、前作「ニモ」の時のようなブームを再び巻き起こせるのか?“夏映画の大本命”を徹底的に紹介していきたい。

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 日本でのディズニー/ピクサー映画歴代興収ナンバー1の金字塔『ファインディング・ニモ』の奇跡の冒険から1年後を描く本作。ニモの一番の親友で、忘れんぼうのナンヨウハギ・ドリーを主人公に、彼女が自身の家族を探す旅に出かける物語だ。全米では6月17日(現地時間)に封切られ、圧倒的な成績でアニメーション史上最高のオープニング興収を記録。公開4週目には2016年公開作品の中でナンバー1の興収を記録するなど、爆発的大ヒットとなっている。

 では、日本での公開後の反響はどうだろうか?ネット上の声を集めていると多く聞かれたのが前作とはまるで「別物」という声だ。とにかく大人の心に響く内容になっているらしい。前作も年齢・性別問わず、様々な層に愛された作品というイメージが強いが、それでも一番の支持を集めていたのは、小学生から高校生ぐらいまでのティーン層だった。しかし、本作は子どもと一緒に見に行った20代から30代の“大人”にハマっている。

 その理由の1つとして、現在20代から30代の人は、多感だった時期に『ニモ』を劇場で見ており、本作の公開を子どもよりも楽しみにしていたということもあるかもしれない。しかし、大人の心に響いている最も大きな要因は、登場するキャラクターの不器用さにあるようだ。ドリーの過去が明らかになるにつれて、ジンベエザメのデスティニーやシロイルカのベイリーなど愛くるしい新キャラクターが登場するが、完璧なキャラクターはいない。
物忘れがひどかったり、海の生き物なのに泳ぎが苦手だったり、みんな“欠点”と一緒に生きている。

 壮大なスケールの大冒険に目を奪われがちだが、ドリーをはじめそれぞれのキャラクターが“欠点”を乗り越えようとする姿が丁寧に描かれているからこそ、これだけ大人の共感を得ているのではないだろうか。誰しもが「自分ってダメだな…」とか「ウチの子どもは何でできないんだろ…」とか“欠点”に悩む時があるはず。友情を糧としてドリーたちが「欠点を個性として受け止めていく」という過程は、経験を重ねた大人にこそグッとくるテーマだろう。 さらに、『ドリー』の公開後、ディズニーストアや関連グッズを扱うお店を訪れてみると、「ニモ」「ドリー」の商品を手に取る人が一層増えたような気がする。それも、子どもではなく、20代前後の女性が多い。おもちゃやぬいぐるみ、ステーショナリーや雑貨などキュートで存在感たっぷりのキャラクターグッズはもちろん、Tシャツやキャップ、バッグなど普段から身に着けられるファッションアイテムを買い求めているのだ。

 思えば、近年大ヒットした『モンスターズ・ユニバーシティ』や『アナと雪の女王』も、映画館を出ても会いたくなるようなキャラクターたちのグッズが世代を問わず人気となり、映画のさらなるブームを加速させていた。その点においても「ドリー」は間違いなく大ヒット作品としての“条件”をクリアしている。どうやらこの夏は、あちらこちらで「ドリー」が大活躍しそうだ。

 映画『ファインディング・ドリー』は、全国公開中。
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