【写真】なんじゃこりゃ…! と叫びたくなるアサイラム製作サメ映画<ジャケ写集>
サメ映画の代表格と言えば、やはり『ジョーズ』(1975)である。撮影当時若干27歳だったスティーヴン・スピルバーグ監督の代表作の1本であり、低予算で制作されながら当時の興行記録を次々と塗り替え社会現象となった。計算された映像と脚本、かの有名なテーマ音楽の融合によって生まれた圧倒的な恐怖で、“サメ=人喰い”というイメージを植え付け、公開から40年以上経った今でもそのイメージは強い。
『ジョーズ』の大ヒットを受けて、70年代後半から90年代にかけ、アメリカやイタリアなどでいくつかの小規模な作品が作られてきた。それらは明らかに『ジョーズ』に影響を受けた安易な内容のものも少なくなく、一部のマニアにしか受け入れらない状況が続いていた。
その後、メジャーなサメ映画もいくつか登場している。高い知能を持ったサメというSF要素を取り入れた『ディープ・ブルー』(1999)や、手違いで海に置き去りにされた夫婦の実話を基にした『オープン・ウォーター』(2004)、岩場に取り残された女性サーファーがサメに襲われる恐怖を描いた『ロスト・バケーション』(2016)も記憶に新しい。これらはいずれもサメの恐怖を描いたいわゆる王道路線の作品と言えるだろう。
しかし、サメ映画が盛り上がるきっかけとなったのは、上記のような王道路線のメジャーな作品ではなく、スリルや恐怖は二の次、三の次の「何これ?」と思わせる規格外のサメ映画たちだったのだ。
もはや生物としてのサメを超越した姿や、海ではない場所にサメを登場させるなど、あっと驚く意外性で勝負し、王道のサメ映画とは一線を画した新たな魅力を持った作品として、一部のファンに受け始めたのである。
2009年の『メガ・シャークvsジャイアント・オクトパス』は、まさにその先鞭。製作したのは、『トゥーム・インベイダー』や『アトランティック・リム』などモックバスター(模倣作)で根強いファンを持つアメリカの映画製作会社アサイラム。タイトルが表すとおり、巨大なサメと巨大なタコが戦うという実に分かりやすい構図と、サンフランシスコのゴールデンゲートブリッジをかじり、空を飛ぶ戦闘機を襲うという“映像のインパクト”が受け、スマッシュヒット。以降、『メガ・シャークvsメカ・シャーク』など4作品を世に送り出し、現在『Mega Shark vs. Moby Dick(原題)』が製作されている。
さらに、頭が2つあるという刺激的なビジュアルのサメが人々を襲う『ダブルヘッド・ジョーズ』(2012)も誕生。
シリーズ1作目『シャークネード』(2013)が与えたショックは絶大で、2作目の『シャークネード カテゴリー2』(2014)以降、本作に触発された一風変わったサメ映画が一気に増殖することになった。
そんなサメ映画ムーブメントの中、満を持して今夏公開されるのが、冒頭で紹介した『MEGザ・モンスター』だ。本作に登場するサメは、滅びたはずの太古の超巨大ザメ“メガロドン”。対抗するのは、映画で数々の敵を倒してきたアクション俳優ジェイソン・ステイサム。なんとも絶妙にして抜群なマッチメイクである。
一方、早くも『MEGザ・モンスター』を意識したアサイラム製作『ザ・メガロドン』も、強面のアクション俳優マイケル・マドセン出演で11月2日よりDVDリリース予定である。(文:中野ダンキチ)
映画『MEG ザ・モンスター』は9月7日より全国公開。