【写真】『クワイエット・プレイス』フォトギャラリー
■ニュー・ライン・シネマ
まず紹介するのは、1967年創業の老舗映画会社である「ニュー・ライン・シネマ」。独立系映画会社として多彩なジャンルを手がけた同社は、『エルム街の悪夢』(1984)の大ヒットとシリーズ化の成功により大きく躍進。
ワーナー・ブラザーズ傘下となった後は、『ソウ』シリーズのジェームズ・ワンが監督を務めた『死霊館』シリーズ(2013~)や『ライト/オフ』(2016)などの低予算作品をスマッシュヒットに導いた。そして、『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』(2017)はR指定ホラーとして異例の全世界興行収入約7憶ドルという特大ヒットを記録。日本でも約20億円の興行成績を叩き出した。同作は、続編の公開を2019年に控えている。
■ブラムハウス・プロダクションズ
続いて紹介するのは、プロデューサーのジェイソン・ブラムが2000年に設立した「ブラムハウス・プロダクションズ」。ブラムは予算管理に厳しいことで知られ、同社作品の大半が300~500万ドル程度の予算となっているが、コストを抑えてリスクを減らすことで、自由を獲得した監督が挑戦的な企画にタッチできることをその理由のひとつとしている。
同社が大きく注目されるきっかけとなったのが、元々自主製作作品だった『パラノーマル・アクティビティ』(2009)だ。ブラムは同作にいち早く目を付け、オーレン・ペリ監督と共にブラッシュアップを実施。
さらに、製作費約450万ドルながら、全世界興収約2億5000万ドルの大成功を収め、アカデミー賞脚本賞を受賞するなど大きな話題を集めた『ゲット・アウト』(2017)も、当時監督としては実績のなかったジョーダン・ピールの才能をブラムが見抜いた結果といえる。同社は『インシディアス』シリーズ(2011~)、『パージ』シリーズ(2013~)などの作品でも有名だ。
■プラチナム・デューンズ
最後に取り上げるのは、『アルマゲドン』、『トランスフォーマー』シリーズなどの大ヒット作を監督したマイケル・ベイらが2001年に設立した「プラチナム・デューンズ」。ホラー映画を中心にプロデュースを行う同社は、『テキサス・チェーンソー』(2003)、『13日の金曜日』(2009)、『エルム街の悪夢』(2010)など、有名ホラー映画のリメイクを製作。この3作品はいずれも低予算ながら、全世界興収約1憶ドルを記録した。
そして、「有望な映像監督にチャンスを与えること」を方針とする同社とベイが、新たな才能として見初めたのが『クワイエット・プレイス』の監督、ジョン・クラシンスキーだ。
監督としての経験が浅く、ホラージャンルは初挑戦のクラシンスキーだったが、“家族”というテーマを取り入れることで、観客の感情移入を促し、より没入感のある恐怖体験を与えることに成功。『クワイエット・プレイス』は大きな人気を獲得し、同社を代表する一作となった。
ますます勢いに乗るこれらのプロダクションの動向に今後も注目したい。
映画『クワイエット・プレイス』は9月28日より全国公開。