【写真特集】奈緒のかわいい姿が満載 撮り下ろしフォト集(12枚)
◇初めて芝居に出合ったとき「涙が出てしまった」
『ハルカの陶』は、「第13回岡山芸術文化賞功労賞」を受賞したコミックを映画化したもの。東京でOL生活をしていたハルカが備前焼と出合い、職人に弟子入り志願。備前焼作りの夢へと突き進む姿を描く。
オール岡山ロケで撮影が行われ「備前焼の先生も『奈緒さんの初主演映画がこの作品だなんてうれしい』と言ってくださって」と地元の人々にも支えられながら、映画初主演を担った奈緒。
演じたハルカは、備前焼の大皿を見かけたことをきっかけに、新たな道を歩み始める女性。
◇選ばれなかった子
それからは女優への道をがむしゃらに目指した。「母の反対を押し切ってまでやりたいと思いました。それまでの私は母を安心させることが一番だと思っていたんです。不安定で安心の対極にあるようなお仕事なのに、『このお芝居への思いは手放してはいけない』『ここまで突き動かされる理由は何か知りたい』という思いが抑えられなかった」。オーディションやワークショップへの参加を重ねて修行を積んだが、その期間は「怒られることが多かった」という。
そんな日々に心が折れそうになったことはないだろうか?「ものすごくへこみますよ! でも次の日にはちょっと強くなっている自分がいたりして。
「まだ福岡にいる10代の頃、グ・スーヨン監督のワークショップをお手伝いさせていただいたんですが、監督から『奈緒ちゃんは、この年齢で今ここにいるということは、“選ばれていない人間”なんだ。それを知っておかなければいけないし、もしチヤホヤされたいだけだったら辞めた方がいいよ』と言われて。ものすごくショックを受けました。でもその瞬間、私も自分の状況に気づけた。チヤホヤされたいわけではない、改めて頑張りたいと思った。
「お芝居のことをもっと知りたい」という探究心が一番のエネルギーになるという奈緒。どんなにへこんでもその情熱は消えず、今年のブレイクへと結実した。『あなたの番です』の“尾野ちゃん”については、「役名で声をかけていただくようになって! 尾野ちゃんは予想のつかない人間だったので、“(犯人だと)疑っている”というメッセージが来たと思うと、だんだん応援してくれる方が増えてきたり。
「尾野ちゃんは、これからの励み。反響はプレッシャーにはなりません」とキッパリと語り、「これからも人がやっている意味が伝わるような、温かみのあるお仕事をしていきたい」と柔らかなほほ笑みの中に、強い意志をのぞかせる。苦労を経て手にした女優への思いは本物。奈緒がこれからもたくさんの足跡を残していくことだろう。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)
映画『ハルカの陶』はイオンシネマ岡山にて先行公開中。11月30日より全国公開。