【写真】『坂元裕二 朗読劇 2020 「忘れえぬ 忘れえぬ」、「初恋」と「不倫」』メインビジュアル
上演されるのは、坂元による書籍『往復書簡 初恋と不倫』(リトルモア)収載の『不帰(かえらず)の初恋、海老名SA』『カラシニコフ不倫海峡』と、本公演のため書き下ろした新作『忘れえぬ 忘れえぬ』の3作品。
男のもとに初恋の女からの手紙がふいに届く。東京に向かう高速バスの車中で書かれた手紙だった。「わたしは東京で結婚し、その相手はこのバスの運転手です」と書いてある。しかしその手紙が届いた頃、男は既にあるニュースを目にしていた。“東名高速道路高速バスの横転事故。死者8名。運転手は逃亡中”。生き残った女は婚約者である運転手の行方を捜しはじめた。男もまた女を救おうとしていた。二人は再びあの海老名サービスエリアで交錯する。
アフリカへ地雷除去のボランティアに行った妻が、少年兵の持つカラシニコフに撃たれて死んだ。男が悲劇の夫として注目を浴びた時、見知らぬ女から手紙が届く。“あなたの妻は生きています。アフリカの地でわたしの夫と暮らしています。わたしたちは捨てられたのです”。男は真偽を確かめるため、女と待ち合わせる。互いの伴侶が密会を繰り返していた円山町。ホテルの名前は、『カテドラル』。残された男と女が今、雑居ビルの谷間の海に溺れてゆく。(『カラシニコフ不倫海峡』)
坂元は「ただ往復する手紙による物語で、今回で三作目になります。これまでに多くの方に朗読していただきましたが、読み手が変わるたびに、声という個性によってその色合いだけではなく、物語そのものが変わって感じられるのが何よりの面白さです。言葉と声しかない最小限の空間に浸り、楽しんでいただければ幸いです」とコメントしている。
『坂元裕二 朗読劇 2020 「忘れえぬ 忘れえぬ」、「初恋」と「不倫」』は、東京・よみうり大手町ホールにて4月14~22日、大阪・松下IMPホールにて4月25、26日上演(大阪公演は風間俊介×松岡茉優のみ出演)