【写真】透明感あふれる美しさ…波瑠、撮り下ろしインタビューカット集
■「できない」から「やってみたい」と心が動いた監督からの言葉
ドラマ『家政婦のミタ』『過保護のカホコ』『同期のサクラ』など、話題作を放ち続ける脚本家の遊川和彦が、映画『恋妻家宮本』以来2度目となる監督を兼ねた本作。高校時代に出会った弥生(波瑠)と太郎(成田)の30年を超える年月を、3月の出来事だけで紡いでいくラブストーリーである。
「最初はできないと思いました」という波瑠。
「弥生の人生には大きな浮き沈みがあるんです。そこには親友を病気で失ったり、震災といった出来事も含まれます。中途半端にはできないと思いました」と述懐。当時、作品が続いていたこともあり、オファーを受けるかどうか迷っていた。
■とにかく映画を観て踏ん張った、下積み時代
2004年に芸能界入りし、キャリアは15年を超える波瑠。ドラマ、映画に引っ張りだこだが、今に至るまでには下積み時代も経験した。
「仕事がなかった時期はとにかく映画を観ていました。今思えば、ワークショップを受けてみるとか、ほかにも勉強法はあったと思うのですが、当時はとにかく映画を観るという方法しか浮かばなくて」と振り返る。
「自分の知識を増やせるってとても楽しいことだし、資格を取れば、実際に身に付くことがある。今でもそうした勉強をしたいなとは思います」と前置きしつつ、「でも、当時は、それが逃げ道になってしまうんじゃないかと思ったんです」と胸の内を明かす。そして「お仕事がない時期はありましたが、上手くいかないときにも、一途(いちず)に踏ん張れる人が上にいけると思ったんですよね」と吐露。そこで踏ん張ったからこそ、今の彼女がある。■いろんなことを「適当にするのは好きじゃない」
本作では、時に敵をつくりながらも、強い信念を持ち続ける弥生を演じたが、波瑠自身も、周りに流されず、自分の足でしっかりと歩む芯の強さを持つ。
「いろんなことを適当にするのは好きじゃない」と話す波瑠。「例えば、インタビュー取材などのときに『こういった場面がありましたけど、こう思いましたよね?』と聞かれたとして、ちょっとでも違うなと感じることが含まれていると、『そうですね』と言えないんです」。
デビュー当時は「『お芝居をやりたいです!』と強い思いを持って仕事を始めたわけではなく、特に信念があったわけでもなかった」。だが、つらい時期を乗り越えながら、女優業を続けて行くなかで、仕事への思いを強くしていった。そして気付くと「適当」にできない自分になっていたという。
■“自分が守りたいもの”を守りたい
「私、結構敵をつくるタイプなんです。
一度は断った本作。だが、結果的に自らにも影響を与えた作品となった。「弥生を通じて、信念を掲げることは、敵をつくることでもあると改めて感じました。でも同時に、『それでいいんだ』と思えたんです。
“守りたいもの”があるのは強さだ。波瑠が自然と放つ品やオーラには、彼女の姿勢がにじみ出ている。だからこそ、私たちは波瑠を支持したくなる。(取材・文:望月ふみ 写真:曽我美芽)
映画『弥生、三月 ‐君を愛した30年‐』は3月20日より全国公開。