2000年6月、13歳のときに映画『クロスファイア』で女優デビューし、今月キャリア20周年を迎えた長澤まさみ。映画、ドラマ、舞台と、多くの作品に出演し、今では日本を代表する女優の1人となっている。
今回はそんな長澤の代表的な6作品をピックアップし、キャラクターやその魅力などを紹介していきたい。

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■ 志願のスキンヘッドで熱演 映画『世界の中心で、愛をさけぶ』

 長澤を語る上で欠かせないのが、“セカチュー”の愛称で親しまれ、社会現象となった純愛映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(2004)。本作で長澤が演じたのは、ヒロインの少女・亜紀。聡明でスポーツ万能、クラスの人気者だったが、17歳のときに白血病を発症し、その治療の副作用で髪の毛を失ってしまう。この展開に合わせ、長澤自身が申し出てスキンヘッドに。映画が大ヒットするとともに、長澤は数々の映画賞を受賞して大ブレイクに至った。

■ 初出演の“月9”で女子高生ヒロイン! ドラマ『プロポーズ大作戦』

 長澤初の「月9」ドラマとなったのが、2007年のラブコメディー『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)だ。大好きな女性に思いを告げられぬまま、彼女の結婚式に出るハメになってしまった山下智久演じる健が、過去に戻ってやり直すチャンスをもらい、思春期から大人になるまでの7年間を描いていくストーリー。長澤は体育会気質で明るく、負けん気の強いヒロインの礼に扮し、健と小気味いい痴話ゲンカを繰り広げた。多くの人たちが憧れた、“ザ・青春”とでもいうような高校時代の健と礼の様子や、セーラー服姿の長澤のみずみずしさとかわいさが突出していた。

■ DVに虐待…女性が闇に落ちていく姿を体現 ドラマ『ラスト・フレンズ』

 明るく、ハツラツとして誰からも愛されるキャラクターを数多く演じてきた長澤が、まさしく体当たりで挑んだのが、DVや性同一性障害、セックス依存症、性的虐待といった社会問題を真正面から捉えた2008年のドラマ『ラスト・フレンズ』。長澤が演じた美知留は、明るく一生懸命で優しい性格だが、優柔不断で流されやすく、他人に頼りすぎるところがある女性。
家にも職場にも居場所がなく、職場の先輩からいじめられ、恋人の宗佑(錦戸亮)からは、同棲を始めた途端、激しい暴力と束縛を受ける。明るかった女性がどんどん闇に落ちていく姿を、長澤が見事に体現した。■ それまでと一味ちがう“小悪魔”系女子を熱演 映画『モテキ』

 それまでの長澤の正統派、清純派というイメージをいい意味で壊し、女優として一皮向けたと認識されるようになったのは、同名ドラマの映画版『モテキ』(2011)の存在が大きい。森山未来演じる主人公の藤本を惑わすみゆきを演じ、セクシーさと小悪魔的な魅力がさく裂。森山との“セカチュー”コンビの再タッグで、長澤は見事な成長ぶりを印象づけた。本作をきっかけに、役柄の幅を大きく広げることとなる。

■ 168cmの長身が映える剣劇アクションが見どころ 『キングダム』

 累計発行部数6400万部を突破した人気コミックを実写化した『キングダム』(2019)は、中国春秋戦国時代を舞台にしたアクション大作。長澤は“山界の死王”と呼ばれ、他民族から恐れられる山の民の王・楊端和(よう・たんわ)を演じた。168cmの長身を生かした本格アクションは、ダイナミックで堂々たるもの。男性キャストらを存在感で圧倒するほどの迫力だ。先月地上波で初放送された際にはネット上に「剣劇アクションがカッコいい」「長澤のハマり役」「かっこよくて美しい」など、長澤の剣劇に大反響が寄せられた。

■ どこか憎めない詐欺師・ダー子 新たな代表作『コンフィデンスマンJP』

 一見、平凡で善良な姿をしたコンフィデンスマン(信用詐欺師)たちが、さまざまな業界を舞台に、壮大で奇想天外な計画で金をだまし取る『コンフィデンスマンJP』シリーズ。
長澤が扮するダー子は、天才的な知能と抜群の集中力で難解な専門知識も短期間でマスターする才能を持ちながら、無軌道な性格で天然、かついい加減で詰めが甘く、ハニートラップを使いたいのに、セクシーさがまったく相手に通用しないという、どこか憎めないキャラクターだ。美しさ、聡明さ、セクシーさ、ひょうきんさと、長澤の魅力が凝縮したダー子は、彼女にぴったりだ。7月23日には、昨年の『ロマンス編』に続く映画化第2弾『プリンセス編』が公開予定。マレーシアの“伝説の島”ランカウイ島を舞台に、長澤をはじめ豪華キャストが史上最大のコンゲーム(だまし合い)を繰り広げる。

 この20年で、女優としてさまざまな顔を見せてきてくれた長澤まさみ。彼女の今後がますます楽しみだ。(文:安保有希子)
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