アニメーション映画監督・細田守の最新作『竜とそばかすの姫』より、最新ビジュアルと特報映像が公開され、作品のストーリーも明らかになった。

【動画】細田守最新作『竜とそばかすの姫』特報

 本作は、手掛けた作品の全てが日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞し、世界中の観客を魅了してきた細田監督のアニメ映画最新作。

先日の映画情報発表時はタイトル、公開時期、1枚のコンセプトアートが公開され、SNSで多くの期待の声が寄せられた。

 そしてこの度、ベールに包まれていたストーリーがつまびらかになった。主人公は、過疎化が進む高知の村で父と暮らす17歳の女子高生・すず。

 自然豊かな村に住む少女・すずは、幼い頃に母を事故で亡くし、父と2人暮らし。母と一緒に歌うことが何よりも大好きだったが、その死をきっかけに歌うことができなくなっていた。いつの間にか父との関係にも溝が生まれ、現実の世界に心を閉ざすようになっていく。
曲を作ることだけが生きる糧となっていたある日、全世界で50億人以上が集う超巨大インターネット空間の仮想世界<U>に「ベル」というキャラクターで参加することになる。

 もうひとりの自分。もうひとつの現実。もう、世界はひとりひとつじゃない。<U>では自然と歌うことができたすず(ベル)は、自ら作った歌を披露し続けるうちに世界中の人気者になっていく。そんな驚きも束の間、突如轟音とともにベルの前に現れたのは、<U>の世界で恐れられている竜の姿をした謎の存在だった―。


 これまで『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』(2000)、『サマーウォーズ』(2009)と、およそ10年に1度描かれてきたインターネットの世界を舞台に、『時をかける少女』以来となる10代の女子高生を主人公に迎える本作。世界の片隅で自分を失ってしまった少女が新しい扉を開き、未知との遭遇の中で成長していく姿を、細田監督ならではのリアル×ファンタジーを通じて描き出す。

 解禁された特報映像には、すずが住む高知の自然豊かな美しい夏の風景、<U>を浮遊するたくさんのアバター、すずのアバターである「ベル」の姿、そして謎の存在「竜」の表情など、[高知の現実世界×インターネット空間の仮想世界<U>]を描き出すカットが多数登場。「あなたは、誰?」「お前は、誰だ?」それぞれの問いかけの答えとは…? すずと竜が出逢った先にはどんな物語が待っているのか。さらに、『サマーウォーズ』『バケモノの子』など、これまでの細田作品のモチーフのひとつとなってきたクジラの尾ひれも見ることができる。

 細田監督は、本作について「アニメーション映画監督になる前から、自分もいつかこういう映画が作れたらいいなと思っていたものであり、今まで様々な作品を創ってきたからこそ、やっと今回実現できるようになりました。
恋愛やアクション、サスペンスの要素もありつつ、一方で、生と死という本質的な大きなテーマもありエンタメ要素の高い映画になっていると思います」とコメントしている。

 アニメ映画『竜とそばかすの姫』は、2021年夏全国公開。■細田守監督 コメント全文

この『竜とそばかすの姫』は、“ずっと創りたいと思っていた映画”です。アニメーション映画監督になる前から、自分もいつかこういう映画が作れたらいいなと思っていたものであり、今まで様々な作品を創ってきたからこそ、やっと今回実現できるようになりました。恋愛やアクション、サスペンスの要素もありつつ、一方で、生と死という本質的な大きなテーマもありエンタメ要素の高い映画になっていると思います。

僕は、若い人が面白く楽しく世界を変革していくのではないかと、インターネット世界を題材にした映画を今までにも創ってきました。
インターネットは、誹謗中傷やフェイクニュースなどネガティブな側面も多いですが、人間の可能性を広げるとても良い道具だと思っています。インターネットそのものが変わってきている今、肯定的な未来に通じるような映画ができないかと考えていました。

去年来、普及するのにまだまだ時間がかかると思っていたインターネットを通じた仕事や生活が、常識と共に大きく変化し、未来に10年くらいぐっと近づいた気がしています。今までの常識にとらわれずどんどん変化している時代の中で、変化していく世界についての映画を創るということに、どこか必然性を感じています。

その一方で、最終的に大事にしないといけないものは変わらないのではないかとも思っています。私たちが代々受け継いできたものは、世の中が変化し、ツールや常識が変化しても受け継がれていくもの。
それがよりはっきり見えてきているのが今の時代なのかなとも思っています。

圧倒的な速度で変わっていく世界と、自分たちにとって本当に大切な変わらないもの、それを今作で楽しんでいただければと思います。