細田守監督のアニメ映画最新作『竜とそばかすの姫』が、7月6日に開幕する第74回カンヌ国際映画祭のオフィシャル・セレクション内に新設された「カンヌ・プルミエール部門」に選出された。同部門に選出された13本のうち、本作は唯一の日本映画作品となる。



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 本作は、インターネット世界を舞台に、母親の死により心に大きな傷を抱えた主人公の女子高生が、“もうひとつの現実”と呼ばれる50億人が集うインターネット上の仮想世界<U(ユー)>で大切な存在を見つけ、悩み葛藤しながらも懸命に未来へ歩いていこうとする勇気と希望の物語。

 カンヌ国際映画祭オフィシャル・セレクションには、コンペティション、ある視点、アウト・オブ・コンペティション、ミッドナイト・スクリーニング、特別上映などの部門があるが、本年、これまでの作品が高く評価されている監督たちの注目すべき新作を集めた「カンヌ・プルミエール」が新設された。細田監督のほかには、『プラトーン』や『JFK』『スノーデン』で知られるオリバー・ストーン監督、『逃げた女』でベルリン映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞したホン・サンス監督や、『アンチクライスト』『ニンフォマニアック』などで知られる女優シャルロット・ゲンズブールの初監督作品など、名だたる監督たちが名を連ねる。

 細田監督の前作『未来のミライ』(2018)も「監督週間」としてカンヌで上映されたが、今回はそれを超える初のオフィシャル・セレクション(公式選出)でのカンヌ国際映画祭参加。1960年にカンヌ国際映画祭からアニメーション部門を独立させる形でアヌシー国際アニメーション映画祭が創設され、カンヌは実写、アニメーションはアヌシーという暗黙のルールがある中で、『竜とそばかすの姫』が選出されたことも異例だ。

 細田監督は「前作『未来のミライ』がカンヌ国際映画祭・監督週間に選ばれたことに続き、今回『竜とそばかすの姫』がオフィシャル・セレクション『プルミエール部門』に選ばれたことをとても光栄に思います。
アニメーション映画がカンヌ国際映画祭に選ばれること自体が極めて稀なことであり、今回の選出が、これから変化していく新しい映画の価値を観客に指し示す兆しと思います。コロナ禍の中で一時途絶えていた映画文化が再び復活する姿を、共にカンヌの地で祝い、感じたいと思います」と喜びのコメントを寄せた。

 監督は、日本での本作公開前夜にあたるフランス現地時間7月15日20時、カンヌでのワールドプレミアに自ら臨む予定だ。

 アニメ映画『竜とそばかすの姫』は、7月16日より全国公開。