断続的な緊急事態宣言が発令されながらも、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催されたりと、すっかり“Withコロナ”な時代に突入した感のあった2021年。そんな今年のエンタメ界を、抜群の演技力と得がたい存在感で牽引したブレイク女優たちを振り返ってみよう!

【写真】清原果耶、蒔田彩珠、平手友梨奈ら…2021年ブレイクした女優たち

◆清原果耶・蒔田彩珠・恒松祐里 『おかえりモネ』から次々ブレイク女優が誕生

 ギャラクシー賞月間賞をはじめ、Yahoo! 検索大賞2021ドラマ部門賞を受賞するなど2021年放送のテレビドラマの中でも突出した話題性を誇ったのが、第104作目となったNHK連続テレビ小説『おかえりモネ』だ。



 そんな2021年屈指の話題作を主演女優として引っ張ったのが、2015年放送のNHK連続テレビ小説『あさが来た』で女優デビューを果たした清原果耶。2018年には、『おかえりモネ』の作者でもある安達奈緒子が脚本を務めたドラマ『透明なゆりかご』(NHK)で主人公の見習い看護師を好演し“若手演技派”の評価を確立すると、2019年にはNHK連続テレビ小説『なつぞら』にヒロインの妹役で出演していた。

 満を持して主演を務めることになった『おかえりモネ』で、清原は気象予報士を志すヒロイン・百音を熱演。その高い演技力で、百音が東日本大震災のトラウマを克服していく姿を見事に体現した。さらに坂口健太郎ふんする青年医師・菅波との初々しい恋愛模様を展開させると、もどかしい2人の距離が視聴者を悶絶させ、ネット上には“#俺たちの菅波”というハッシュタグが生まれるなど大きなムーブメントを生んだ。

 『おかえりモネ』最終回翌日には、「Seventeen」の専属モデル卒業を発表。朝ドラヒロインという大役を終えたばかりの彼女だが、2022年1月からは新たな主演ドラマ『ファイトソング』(TBS系/毎週火曜22時)がスタート。数々のヒットドラマが生まれた“火10”へ進出し、ついに民放ドラマ初主演を務める。

 『おかえりモネ』からは清原以外の女優たちも続々とブレイク。2020年公開の映画『朝が来る』の演技が高く評価され、数々の映画賞を受賞した蒔田彩珠は、『おかえりモネ』で百音の妹・未知役を務めることに。東日本大震災の記憶や、幼なじみの亮(永瀬廉)をめぐって姉と対立する未知の心の機微を蒔田は繊細な芝居で表現。また清原と並んでもまったく引けを取らない演技力で、劇中でも存在感を放った。
蒔田の熱演は視聴者から好評を博し、ネット上ではたびたび未知の愛称“みーちゃん”がツイッタートレンド入りしていた。そんな蒔田は2022年1月スタートのドラマ『妻、小学生になる。』(TBS系/毎週金曜22時)で堤真一石田ゆり子と共演。さらに2022年1月28日公開の映画『Pure Japanese』では、ヒロイン役を務め主演のディーン・フジオカと共演する。

 また百音の幼なじみの明日美を演じた恒松祐里も、『おかえりモネ』で本格的にブレイク。百音のよき相談相手としてたびたび登場すると、その明るい笑顔と陽キャ全開の存在感はドラマに欠かせないキャラクターに。また『おかえりモネ』スタートとほぼ同時期に世界へと配信された『全裸監督 シーズン2』(Netflix)では、アダルトビデオ業界に身を投じるヒロイン・乃木真梨子を熱演。まったくトーンの違う2作品での演技も注目を集めた。

◆平手友梨奈 欅坂46脱退以降、女優業へ本格進出

 近年、脱退・卒業を経て女優へと転身するメンバーが多い坂道グループ。その中でも出演作は少ないながらも大きなインパクトを残しているのが、欅坂46(現櫻坂46)出身の平手友梨奈。

 2020年1月にグループを脱退した直後は、ソロのシンガーとして楽曲リリース。そんな彼女も2021年に入ると本格的に女優業の成果が現れ始める。
1月にはヒロイン役を務めた映画『さんかく窓の外側は夜』が公開され、4月には16年ぶりのシリーズ続編となった『ドラゴン桜』にメインキャストとして出演。このドラマで平手が演じたのは、バドミントン部のエースとしてオリンピック出場も期待される岩崎楓。バドミントンが未経験だったという平手は、全国屈指のトップ選手である楓を演じるために猛特訓を敢行。リオ五輪バドミントンダブルスに出場した栗原文音による指導のもとトレーニングを積み、劇中では華麗なジャンピングスマッシュや股抜きショットを披露し、視聴者を驚かせた。また、ケガのためにバドミントンが思うようにできなくなった楓の心情を、等身大で表現した演技も高い評価を得た。

 女優として一際存在感を放った彼女は、このドラマ以外にも6月公開の映画『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』にも出演。さらに12月放送のドラマ『風の向こうへ駆け抜けろ』(NHK総合)では主演を務めるなど、着実にキャリアを重ねている。

◆生見愛瑠 ドラマ2作目にして当たり役“ハチ子”でブレイク

 “めるる”の愛称でいまやテレビで見ない日はないほどの人気を誇っているのが、ファッションモデルでタレントの生見愛瑠。明るい笑顔と当意即妙なトークで、テレビではバラエティ番組を中心に若い世代から絶大な人気を誇っている彼女も、2021年は女優業に進出。3月には初出演にして初主演となるドラマ『おしゃれの答えがわからない』(日本テレビ系)で、コロナ禍を生きる地味な女子大生を見事に演じた。
 
 そんな生見は10月スタートの『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』(日本テレビ系)で早々に今年2作目となるドラマ出演を果たすことに。本作で生見が演じたのは、ヒロインのユキコ(杉咲花)の恋のライバルとなる少女・橙野ハチ子。
劇中でハチ子は、森生(杉野遥亮)に想いを寄せるあまり、彼とユキコの仲に割って入るという役どころ。ハチ子はユキコを傷つけるような言葉をぶつけてみたり、さらには弱視のユキコが使っている白杖を奪うという暴挙に出ることも。そんなハチ子のひどい言動の数々を、生見はバラエティ番組で見せる笑顔や人懐こいキャラを封印し演じ切り、見事にヒール役に徹してみせた。一方で、ハチ子が学生時代にイジメを受けていた過去や森生に助けられたことからハチ子にとって彼が心のよりどころになったという経緯も描かれると、生見は繊細な演技で役の持つ複雑さを体現してみせた。

 キャリアが浅いながらも女優としてのポテンシャルの高さを見せてくれた生見には、2022年以降も活発な女優業を期待したい。

古川琴音 スクリーンでの活躍も目立ち人気を確立

 2020年、NHK連続テレビ小説『エール』とドラマ『この恋あたためますか』(TBS系)に出演し、ブレイク候補の筆頭に躍り出た古川琴音。2021年はスクリーンでの活躍が目立った彼女は、坂元裕二が脚本を務めた1月公開の映画『花束みたいな恋をした』に出演。4月に公開された今泉力哉監督作『街の上で』ではヒロインのひとりを演じたほか、第71回ベルリン国際映画祭で銀熊賞(審査員グランプリ)を受賞した濱口竜介監督のオムニバス映画『偶然と想像』(公開中)にも出演している。

 立て続けに出演作が公開される中、4月には菅田将暉主演、共演に有村架純神木隆之介、仲野太賀らがそろった『コントが始まる』(日本テレビ系)の放送がスタート。30代を目前に控えたお笑いトリオ「マクベス」を中心に、彼らを支える周囲の人々も巻き込んだ人間模様を描いた本作で、古川は有村の妹役となるスナック従業員のつむぎ役で出演。高校卒業後、職を転々としてきた彼女が生きる目標を見つけ力強く歩みを進めていく姿を好演した。

 朝ドラ出演者を中心に、たくさんの若手女優がブレイクを果たした2021年。
来年はどんな魅力的な女優が登場し、視聴者を楽しませてくれるのか、期待は膨らむばかりだ。(文:スズキヒロシ)

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