日本が誇る"人材輩出企業"といえば、リクルート。1960年の創業以来、iモード開発者で現バンダイ取締役の松永真理氏、USEN社長の宇野康秀氏、最近注目を集めているところではリンクアンドモチベーション社長の小笹芳央氏、IMJ取締役の樫野孝人氏など、多くの人材を世に出してきた。
就職支援サイトが行う大学3年生を対象にした人気企業ランキングでも、ほぼ毎年50位以内にランクインしており、「よく働き、よく学び、よく遊ぶ」「社員皆起業家」というその独特の社風に憧れる若者は数多く存在する。


 しかし同時に、「飛び込み営業で1日名刺500枚を集めさせられる」など、都市伝説めいた噂が流れるほど、その新人研修はハードなものだという。桜咲く4月に晴れてリクルートに入社した新入社員の諸君は、どんなシゴキを受けているのだろうか?

 同社新入社員君に、噂の真偽を確かめるべく、話を聞いてみた。

「名刺集め、やりましたよ。すごい人は、1日で200枚くらい集めてましたね。朝8時にオフィスに集合して、決起集会をして、9時から5時まで、ひたすら飛び込みで名刺獲得キャンペーンをやって......。そのスケジュールを3日間繰り返す。キツいといえばキツいですが、ひたすら動き回ればいいだけとも言えるので、ある意味一番楽かもしれません。リクルートの場合、座学での研修は4月いっぱいでほとんど終わり。あとはひたすら本配属までOJTになるので、その時期に新入社員は一斉に、名刺獲得キャンペーンをやるんです」(同社新入社員)

 その性急さが、いかにもリクルートらしい。しかし新入社員からしてみれば、入社後すぐ"リクルートらしく"、自分の限界を超えるような仕事を要求されるのは、心身共にキツいのでは......?

「キツいですよ、実際! でもまだまだいけると思います。ランナーズハイかもしれませんが(笑)。

ウチの会社は、本当にいろんなタイプの人間が混在していて、それぞれが『思い』を持って仕事しているところが魅力です。もう一回就職活動をするとしても、やっぱりリクルートを選びますね」(同)

 だが、実際のところ、この"元祖ベンチャー企業"独特の空気にアテられて、戦線離脱する人もやはり存在する。

「入社2年目で、心身ともに体調を崩して退職しました。新しさを追及することや、各自が持つ『熱意』といったものについていけなくなって......。一体感を強要されているような気がしてきて、ノイローゼになりました。今もまだ転職活動はしてません。あの社風は、ぴったりはまることができれば自分の成長に貢献しますが、合わないと潰されてしまいます」(元リクルート社員)

 リクルートの従業員平均年齢は29.2歳(08年時点)。同社が年間で支払う退職金の額は、合計数10億円にのぼるとされる。早期退職や独立、進学が推奨されるために、社員の平均退職年齢が低いとされる同社だが、その中には実は、その風潮に耐えきれずに、やむなく退職の道を選んだ人も含まれているのではないだろうか。取締役自らHPで「世界一、社員を甘えさせない会社でありたい」と、新規採用者への期待を述べるように、ガッツある会社の色に馴染みつつ、そこを踏み台にするくらいの気概がないと、第二第三の宇野氏、小笹氏にはなれないようだ。
がんばれ、新入社員君!
(編集部/「サイゾー」10月号より)



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