しかし同時に、「飛び込み営業で1日名刺500枚を集めさせられる」など、都市伝説めいた噂が流れるほど、その新人研修はハードなものだという。桜咲く4月に晴れてリクルートに入社した新入社員の諸君は、どんなシゴキを受けているのだろうか?
同社新入社員君に、噂の真偽を確かめるべく、話を聞いてみた。
「名刺集め、やりましたよ。すごい人は、1日で200枚くらい集めてましたね。朝8時にオフィスに集合して、決起集会をして、9時から5時まで、ひたすら飛び込みで名刺獲得キャンペーンをやって......。そのスケジュールを3日間繰り返す。キツいといえばキツいですが、ひたすら動き回ればいいだけとも言えるので、ある意味一番楽かもしれません。リクルートの場合、座学での研修は4月いっぱいでほとんど終わり。あとはひたすら本配属までOJTになるので、その時期に新入社員は一斉に、名刺獲得キャンペーンをやるんです」(同社新入社員)
その性急さが、いかにもリクルートらしい。しかし新入社員からしてみれば、入社後すぐ"リクルートらしく"、自分の限界を超えるような仕事を要求されるのは、心身共にキツいのでは......?
「キツいですよ、実際! でもまだまだいけると思います。ランナーズハイかもしれませんが(笑)。
だが、実際のところ、この"元祖ベンチャー企業"独特の空気にアテられて、戦線離脱する人もやはり存在する。
「入社2年目で、心身ともに体調を崩して退職しました。新しさを追及することや、各自が持つ『熱意』といったものについていけなくなって......。一体感を強要されているような気がしてきて、ノイローゼになりました。今もまだ転職活動はしてません。あの社風は、ぴったりはまることができれば自分の成長に貢献しますが、合わないと潰されてしまいます」(元リクルート社員)
リクルートの従業員平均年齢は29.2歳(08年時点)。同社が年間で支払う退職金の額は、合計数10億円にのぼるとされる。早期退職や独立、進学が推奨されるために、社員の平均退職年齢が低いとされる同社だが、その中には実は、その風潮に耐えきれずに、やむなく退職の道を選んだ人も含まれているのではないだろうか。取締役自らHPで「世界一、社員を甘えさせない会社でありたい」と、新規採用者への期待を述べるように、ガッツある会社の色に馴染みつつ、そこを踏み台にするくらいの気概がないと、第二第三の宇野氏、小笹氏にはなれないようだ。
がんばれ、新入社員君!
(編集部/「サイゾー」10月号より)
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