とろけるような笑顔を持つ、我らがスーパーアイドル・みひろ。とびっきりの"エロかわいさ"で男性はもちろん、同性からの人気も高い。
そんな彼女が全編埼玉ロケのインディペンデント映画『SR サイタマノラッパー』でヒロイン・千夏を演じている。地元には熱くなれるような仕事はなく、かといって東京に出て自分を試してみようという度胸もない。地方でくすぶっている若者たちの葛藤を日本語ラップとオフビートな笑いを交えて描いた、切な~い青春映画なのだ。


 取材の合間にイチゴ大福をモグモグ食べる姿もキュートなみっひーに、仕事のこと、家族のこと、将来のこと、そして現在執筆中の処女小説のことまでいろいろ聞いちゃったのだ。

 深夜番組『ゴッドタン』(テレビ東京系)の人気企画「キス我慢選手権」では劇団ひとりを相手に巧みなアドリブを披露するなど演技力でも定評のあるみっひーだけど、一般映画への出演は役づくりで苦労したのだろうか。

「いつも台本をまず1回読んでみて、最初に感じるインスピレーションを大事にしているんです。

1回読んでもよくわからないときは何回か読み直しますけど、やっぱりファーストインプレッションがポイントですね。今回の千夏役は自分自身と重なるキャラクターだったので、感情移入しやすかった。それに『水着スパイ』で一度仕事をした入江悠監督は1シーンを1カットの長回しで撮る撮影スタイルなんですが、その方が細かくカット割されるより役に入りやすいんです。なんだろうなぁ、現場に入って共演の人たちの演技に合わせて自分の台詞を口にしているうちに、自然と現場の空気に馴染んでいって、いつの間にか役に入っているって感じなんです」

 ほぉ~、1回台本を読んで役をつかんでしまうとは天才肌ですな。厳寒期の埼玉での野外ロケは深夜にまで及んだそうだけど......。

「他の仕事も大変なので、今回の映画の撮影は全然平気でした。

お芝居するのが好きなんです。お芝居をすることで、いろんな自分を発見できるのが楽しい。ロケに参加したのは2日間だけだったけど、すっごくアットホームな現場でよかったですよ。クランクアップでは花束の代わりに、地元名産のブロッコリーを山盛りいただいちゃいました(笑)。ぷりっとした新鮮なブロッコリーは茹でてマヨネーズを付けて食べると、とても美味しいかったですよ、フフ」

 千夏は自分自身と重なるキャラクターとのことだけど、どんな部分に共感したの?

「千夏は東京に出てAV女優になったけど、嫌になって故郷に戻ってきた女の子なんですね。でも、もう一度自分の夢に向かってトライしようとする。

その部分は私の心境とすごく似ていましたね。私は新潟出身なんですけど、田舎が好きで毎年のように正月は帰省するんです。それで昔の友達とかと集まって飲んでたら、『なんでAVとかやってるの?』『恥ずかしくないの?』『辞めちゃえば』なんて言われたんです。言うのは仲のいい友達じゃなくて、あまり親しくない人たちですけど、そういう風に言われると『やっぱり辞めたほうがいのかなぁ』とか思ったりしたんですね。でも、心のどこかに『まだ、やり残したことがあるよ』って思う自分もいるんです。それで、お芝居の仕事をするようになったら、すっごく楽しくなってきたんですね。
やっぱり、まだまだやりたいことがあるんだなって。よ~し、どこまでできるかやってみるぞぉと」

 なるほど、夢の入り口に立っただけで満足しちゃダメ。夢の扉を開けて、ずんずんと自分の道を切り開いてこそ、夢を叶えたことになるんっスね!

「AVの仕事って、どうしてもマイナスのイメージで見られちゃいますからね。でも、ただエッチなだけで、この世界に入ったわけじゃないんだぞと。もちろんエッチが好きじゃないと務まらない仕事ですけど。でも、AVやってるからダメなんだとか言われるのは嫌。

AVやってるけど、映画にも出てるし、テレビのバラエティーもやれるんだよって言いたい。いろんな可能性があることを証明できればいいなって思うんです」

 お正月は新潟の家族との団欒を過ごしたことがブログに綴られているけど、AVデビュー時は大変だったに違いない。いつも笑顔のみっひーが、このときだけはシリアスな表情を見せた。

「もちろん、家族は私がこの世界に入ったことに対しては賛成してくれませんでした。でも、熱く訴えれば、伝わるものだと思うんです。心の底から応援してもらうのは無理でも、私が将来夢見ているものがあることは分かってくれた。

結局、最後まで両親は『頑張れ』とは言ってくれなかったんですけど、『体だけは気をつけなさい』『お前の体が無事ならいいよ』って。その言葉には、じ~んと来ちゃいました!」

 インタビューしているこちらまで目頭が熱くなってきたぞ。ここはひとまず映画に話題を戻そう。劇中、幼なじみのIKKU(駒木根隆介)もラッパー目指して頑張っているけど、千夏から見ればまだまだ甘ちゃんに映る。男と女では年齢の重ね方が異なり、平行線のまま交わらないという関係が辛いっス!

「千夏とIKKUは同年齢だけど、千夏はお姉さん的な見方をしてるみたいですね。同世代だと、どうしても女性の方が精神年齢は上になってしまうんでしょうね。私はIKKUみたいに夢を持っている、少年みたいな男性は好きですよ(笑)。でも、夢があるのにどーせ無理だろうと、いつまでもウジウジしている人は嫌いです。ダメもとでもやってみなくちゃ、始まりませんから。私もマネージャーさんから新しい仕事を持ち掛けられたら悩みますけど、思い切ってやってみると道が開けるもの。初めてのドラマ出演は『演技の経験なんてないから無理無理』と最初は躊躇してたけど、やってみたらすごく楽しかった。だから、やりたいことがあるのにウジウジしているような人は、みひろがお尻をパシンと叩いてあげますよ!」

 みっひーにお尻をスパンキングされれば、みんなヤル気満々でしょ。

「アハハハ」

 クライマックスで千夏は重そうなスーツケースを懸命に抱えて旅立つわけだけど、あの中身は一体何でしょうね?

「う~ん、ブロッコリーじゃないでしょうか(笑)。地元の特産品をスーツケースにぎっしり詰め込んで旅立ったんじゃないかなぁ。ブロッコリーは栄養満点だし。千夏は決して故郷のことが嫌いになって出ていくんじゃないと思うんです。きっと、千夏は地元LOVEっ子です。だって、私も新潟が大好きですもん。いつも東京に戻るときは日本酒を買って帰ります。『八海山』の一升瓶を抱えて列車に乗ってます(笑)。私が頑張って地元を盛り上げちゃうぞ! な~んて大きなことを思ったりしているんです」

 現在執筆中の処女小説『nude』のことも、ちょっとだけ教えてください。

「はい、2月9日から講談社の「MouRa」というサイトで連載が始まります。初夏には出版される予定です。私小説で、私自身のノンフィクションとフィクションを混ぜ合わせたもの。友達とのこととか、仕事のこととか、心の葛藤とか、細かく書いています。この世界に入ったときは、まさか映画に出演することも小説を書くことも想像すらしていませんでした。でも、新しいことに挑戦することで、そこからいろんな出会いが生まれてきたんです。こうやって、さらにいろんなことに挑戦できるのも、いい出会いが重なったからこそ。ほんと、運がえかった(笑)」

 最後のひと言が北国訛りになっているところが堪りません。みっひーの明るい笑顔に触れた人はみ~んな、アナタのことを応援しますって!
(取材・文/長野辰次)


●みひろ
1982年、新潟県生のセクシー女優。2002年にヘアヌード写真集『夢』でデビュー。2005年に『Little Angel』でAVデビュー。女優として、『スケパン刑事』(06)、『水着スパイ』(07)、『桃香クリニックへようこそ』(08)など数多くのオリジナルDVDに主演。主演映画『LOVE RUNS FASTER THAN BLOOD』(07)はサンパウロ国際映画祭などに出品され、メルボルンアンダーグランド国際映画祭で外国映画主演女優賞を受賞している。また『おねがい!マスカット』『ゴッドタン』(ともにテレビ東京系)、『志村けんのバカ殿』(フジテレビ系)などのバラエティー番組でも活躍。2月9日より新堂冬樹プロデュースの処女小説『nude』が講談社webサイト「MouRa」(http://mihiro.moura.jp/)にて連載スタート。


●『SR サイタマノラッパー』
『ジャポニカ・ウィルス』(06)で長編デビューした入江悠監督が出身地・埼玉県を舞台にした青春ムービー。レコード店もライブハウスもない地方都市で暮らすニートのIKKU(駒木根)、おっぱいパブの店員のTOM(水澤)、ブロッコリー農家のMIGHTY(奥野)はラッパーとしてライブを開くことを夢見ている。そんなある日、上京して人気AV女優になったはずの幼友達・千夏が街に戻ってきた。
監督・脚本/入江悠 出演/駒木根隆介、みひろ、水澤伸吾、奥野瑛太、杉山彦々、益成竜也 配給/ノライヌフィルム、シネマ・ロサ 池袋シネマ・ロサにて3月14日(土)~27日(金)レイトショー公開。
(C)SRサイタマノラッパー
http://www.sr-movie.com



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