佐藤優が分析する「インテリジェンスと陰謀論」の境界線(後編)

 今が、まさにそういう時でしょう。最近の世界経済危機の中で、派遣切りの問題が浮上し、正規社員の人たちも「明日はわが身」という不安を感じだした。すると、「自分の落ち度でそうなったんじゃない。しかし、なぜなのかはわからない。誰か説明してくれ!」となる。そんな欲求が強まっている時代だと思います。


●差別に繋がる陰謀論 十分に警戒すべき


──21世紀になって登場した陰謀論の多くは、アメリカが"主役"になっているように思えますが、その点はいかがでしょうか?

佐藤 スーパーパワーとして突出した存在だからかもしれませんが、アメリカがキーワードとして語られる場合、陰謀論というより、「帝国主義論」というオモテの議論になっているように思えます。

 むしろ陰謀論の標的になっているのは、アメリカの中の「ユダヤ」でしょう。すべては、ユダヤ人が世界征服をもくろんでいるという、「シオン賢者の議定書」【註】の焼き直しですね。陰謀論は往々にして、こうした少数者差別を含んでいます。その点は、徹底的に警戒すべきでしょう。

──では、最後に、陰謀論に踊らされないために、気をつけるべきポイントを教えてください。

佐藤 「わからない」という状態に耐える力が必要ですね。自分が何をわかっていないのか、それを直視することが物事を知る第一歩です。

 それから、良質な文学を読むことは、陰謀論への抵抗力をつけるのにうってつけです。なぜなら文学とショートカットは相容れないですから。物語を途中で端折った面白い小説なんかありませんよね。陰謀論というのは推定有罪、すなわち結論ありきですから、論理の崩れや仕掛けの稚拙さが目立つんです。優れた文学をたくさん読み込んでいれば、バカバカしくて付き合えないと思えますよ。
(取材・文=李策/「サイゾー」4月号より)


あわせて読みたい

日刊サイゾーの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

社会ニュースアクセスランキング

社会ランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る
2009年3月18日の社会記事

キーワード一覧

このカテゴリーについて

国内に起きた最新事件、社会問題などのニュースをお届け中。

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。