お笑い界には、いくつかの派閥があると言われている。そういったものの存在は、普段あまりあからさまになることはない。テレビの視聴者は、バラエティ番組の中で芸人が「このあいだ○○と飲みに行った」などとしゃべっているのを聞いて、彼らのプライベートでの人間関係を漠然と思い描くことしかできない。そういった芸人たちの派閥や対立関係は、ゴシップ誌などで面白おかしくネタにされることもあるが、いずれにしてもあまりはっきりした全貌はつかめない場合が多い。

 そんな中で、テレビでも公然とその存在が語られている異色の組織が1つだけある。それが、ダチョウ倶楽部上島竜兵率いるお笑い芸人集団「竜兵会」だ。『アメトーーク』(テレビ朝日)などの人気番組に取り上げられたことで、その知名度は一気に上昇した。

 竜兵会とは、上島と彼を慕う後輩芸人たちの集まりだ。主な活動は、東高円寺の居酒屋「野武士」にて、酒を飲んでくだを巻くだけ。それでも、最近では土田晃之劇団ひとり有吉弘行といった一癖ある売れっ子芸人を次々に世に送り出している。

 竜兵会とはどういう組織なのか。お笑い界の他の派閥とはどこが違うのか。それを考えることで浮かび上がってくるのは、トップに立つ「上島竜兵」という男の特異な存在感だ。

 竜兵会の最大の特徴は、「利権がない」ということだ。多くの若手芸人にとって、先輩芸人と親しくなってその人の出ている番組に共演させてもらう、というのはかなり魅力的なことだ。それを狙って人気芸人とお近づきになろうとする芸人も少なくはないだろう。