2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』

 日本ではペットブームの裏で、経済不況や離婚などが原因となって、ペットを手放すケースが増えてきていることを飯田監督は伝える。ワイドショーで話題となった"崖っぷち犬"が放送直後は全国から100件以上も「引き取りたい」という申し出があったものの、2カ月後の譲渡会に参加したのは11人だったこともわかる。この映画は犬や猫の置かれた現状を追ったドキュメンタリーだが、人間自身のドキュメンタリーでもあることが次第に観ている側に伝わってくる。ペットは飼い主に似ると言われるが、ペットに癒しを求める一方で年間30万頭以上もの犬や猫たちが処分されるという矛盾した現実は、今の日本社会の歪みを反映していると言っていいだろう。

「取材中は辛いことばかり。悩みっぱなしでした。動物たちが処分されるシーンの撮影はかなりヘコみました」と飯田監督はトークイベントで胸の内を語っている。確かに動物好きな人たちにとってヘビーな映像が盛り込まれているが、本作はただ陰鬱な面を見せるだけでなく、身勝手な人間たちがいる一方で、犬や猫たちの命を少しでも救おうと尽力している施設の職員や有志者たちの姿を追っている。彼らの手によって処分を免れる犬や猫たちは僅かだが、決してゼロではないのだ。また、環境省が今後9年で処分される数を半減しようと各自治体の収容施設・譲渡施設の改善に動き出したことも伝えている。

「人間よりマシみたい。動物のほうが」と語った稲葉さんだが、それでも、やはり人間のことを心の底では信じていたはずだ。だからこそ、初対面の飯田監督に映画製作を依頼したのだと思う。取材が長引いたために飯田監督は稲葉さんと最初に交わした"締め切り"は守れなかったが、それ以外の注文には誠実に応えてみせた。いつの日か、稲葉さんの口からこぼれた言葉は「人間も少しはマシになったみたい」と修正される日がくるだろうか。
(文=長野辰次)


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