海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』

海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』
ひとり息子(ウォンビン)の無罪を証明するため、<br />母親(キム・ヘジャ)は体を張った単独捜査を開始する。<br />二転三転するラストに、観る側は、あ然呆然。<br />(C)2009 CJ ENTERTAINMENT INC. & BARUNSON CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED

 ポン・ジュノ監督の初期の短編映画を集めた『ポン・ジュノ アーリーワークス』の特典映像として、ポン・ジュノ監督へのインタビューが収録されている。それによると1969年生まれのポン・ジュノ監督は韓国、日本の区別なくアニメやコミック漬けの少年時代を過ごしたそうだ。「アニメ製作は大変なので、実写を撮るようになった」とも語っている。

 無意識のうちに日本のポップカルチャーのエキスを吸収しているのだろう。そのため、日本人が観てもポン・ジュノ作品はとても親近感が湧く。デビュー作『ほえる犬は噛まない』(01)は韓国ではさっぱりだったものの、日本のミニシアターによく合う作風で日本でスマッシュヒット。軌道修正した実話系犯罪ミステリー『殺人の追憶』(03)を韓国で大ヒットさせて足場を固めると、第3作『グエムル 漢江の怪物』(06)は緻密な設定で日本の元祖怪獣マニアたちを唸らせた。またオムニバス映画『TOKYO!』(08)の一編『シェイキング東京』では蒼井優を日本のどの監督たちよりもセクシーに撮っている。ポン・ジュノ監督は映画ならではの深みとエンターテイメント性を両立させている希有な映像作家だ。"隣の芝生は青く見える"ではないが、ポン・ジュノ作品を観ていると「日本にもこんな監督がいてくれれば」と思ってしまう。

 最新作『母なる証明』は、『殺人の追憶』と同じく殺人ミステリー。5年ぶりの俳優復帰となるウォンビンと、"韓国の母"と呼ばれるベテラン女優キム・ヘジャ(どことなく"日本の母"と呼ばれた山岡久乃っぽい雰囲気)共演による母子ものだ。殺人の容疑を掛けられた息子を救うために、ごく平凡な母親が素人探偵となって真犯人を暴き出すというシンプルなストーリー。日本の2時間ドラマなら新聞のラテ欄で埋れてしまう地味な題材ながら、ポン・ジュノ監督はズシリと観る者の胸に迫る映画に仕立てて見せている。ドメスティック・バイオレンスならぬ、ドメスティック・ラブとでも呼ぶべき、狂気さえ感じさせる親子愛のドラマとなっている。


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