1月7日放送の『アメトーーク! 町工場芸人』(テレビ朝日系)。視聴者から「笑えた!」に加えて、「癒された♪」との声がこれほど寄せられた回がかつてあっただろうか。

その象徴ともいえるのが、昭和の香り漂う"なぞかけ芸"で一躍その存在感をアピールした漫才コンビ「Wコロン」のねづっちU字工事中川家・剛ら共演メンバーの中で、視聴者の記憶に最も残ったのは、ある意味ねづっちだったといっていいだろう。浅草をベースにして活躍する芸人として、その腕前は着実に評価を上げているが、テレビの世界では、いまだなぞ多き芸人でもある。そんな、今後ブレイクが期待されるねづっちを直撃。

ねづっち (笑顔で登場)すいません、先にちょっと、トイレいいですか......(笑)?

――あ、どうぞどうぞ! (トイレ待ちで3分ほど)

ねづっち お待たせしました。どうも、すいません。

――いえ、とんでもないです(笑)。まずは、『アメトーーク!』のお話から。番組内で連発した、なぞかけが新鮮でした。突然、お題を出されても、ものの数秒で「整いました!」と言って、謎かけをやってみせる。「アメトーークと掛けて、遊園地と解く。その心は、どちらも観覧者(観覧車)が目につきます」とか、「アメトーークと掛けて、掛け算と解く。

その心は、どちらも括(九九)ってます」とか。

ねづっち 出演の後は結構反響ありましたね。あの番組で、初めて僕を見たという方もたくさんいたと思います。

――すごい短時間で「整いました!」と何度もおやりになっていましたが、普段からどんな訓練をしているんですか?

ねづっち いやいや(笑)、訓練というか、芸人仲間と「なぞかけ以外の会話禁止」という飲み会をときどきやってまして。ナイツつっちー(土屋伸之)とか響の長友(光弘)君とかと飲みながら、「整いました!」と朝までやってますね。僕らは「なぞかけナイト」って呼んでるんですけど。

略して「NN」。

――その「なぞかけナイト」をライブハウスでもやっていると伺いました。

ねづっち そうなんです。次は3月18日に阿佐ヶ谷の「ロフトA」で「なぞかけナイト」っていうのをやります。3回目になるんですが、毎回、芸人仲間をゲストとして6~7人呼んで、ガンガン飲みながらやるんですよ(笑)。前回は3時間で250個くらいお題が出て、一つひとつに相方の木曽(さんちゅう)が突っ込みを入れる形で、お客さんに説明していく。

これがないと、ポカンとしちゃうお客さんもいますからね。ただ、これが結構大変で、次の日、木曽はマジで熱出してましたからね(笑)。

――6~7人のピッチャーの球を一人で受けるようなもんですしね(笑)。ところで、なぞかけは昔から?

ねづっち 芸人になった最初の頃は別の相方と組んでいて、浅草の寄席に出てたんです。ある日、先輩の芸を舞台のソデで見てたら、「朝刊と掛けてお坊さんと解く、その心は、今朝来て今日読みます(袈裟着て経読みます)」と。メッチャうまいじゃないですか! おぉ、すげえ、こういうのを目指そうと(笑)。

――即興でやるようになったのは、いつ頃からですか?

ねづっち 04年にWコロンになってからですね。相方の木曽から「即興でやるのはどうだ」と。やってみたらけっこうウケて。昨年は『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ系)のオーデションに持っていったら通りまして。

――今回、『なぞかけで「脳活」!』(東邦出版)という本を出されました。ねづっちさんのなぞかけネタがたくさん載っていて、なぞかけのコツも書いてあります。

たしかに脳トレになりますよね。

ねづっち なんだか脳を活性化させるみたいですね。なぞかけを作る楽しさも味わえるようになってます。なかなかご好評をいただいてますよ。

――少し本の中身をご紹介させていただいていいですか? 「テレビ局と掛けて、売れない芸人のバイト日数と解く。その心は、収録(週6)もあるんです」「ユーロとかけて、ドリフターズと解く。その心は、いい湯(EU)だな」「田中裕二と掛けて、オリンピックチャンピオンと解く。その心は、金取ってニュースになるんです」(笑)。爆笑問題の田中さんとはお付き合いがあるんですよね。

ねづっち 爆笑(問題)さんがやってる深夜のラジオ番組で「皆でうまいこと言おう」という、ダジャレやなぞかけを紹介するコーナーがあったんですけど。4年くらい前にそこに遊びで出してみたら、採用されたんです。それから常連化しちゃって。芸暦10年目でハガキ職人デビューしましたよ(笑)。

――素人に混じって、プロがハガキを出していたんですね。そうした地道な努力が、最近実を結んできたと。

ねづっち ありがたいですね。田中さんって野球が大好きで、田中さん主催の「野球バカの会」ってのがあるんです。春先に田中さんちに集まって田中さんの奥さん......もういなくなっちゃいましたけど(笑)、奥さんの手料理を食べながらプロ野球の順位予想とかするんです。で、シーズン終了後の秋にまた集まって答え合わせをするという。

――おもしろそうですね。まだ続いているんですか?

ねづっち いや、今年は田中さん離婚しちゃったんで(笑)。だからそれをトークライブへそのまま移行しちゃおうということで、昨年12月に阿佐ヶ谷ロフトAで「田中裕二の野球部」という形でやったんです。けっこうお客さんパンパンに入っていただいて。今春は、3月5日に阿佐ヶ谷ロフトAでやります。

――普段は浅草東洋館の寄席にも出られていますよね。

ねづっち 浅草の寄席は毎月3~4回出てます。前はほぼ毎日出てたんですけど、ナイツの影響で、浅草の舞台に出たがる若い芸人がものすごく増えまして。今はちょっとあふれちゃうんですよね。

――演芸場のお客さんも変わってきてますか?

ねづっち そりゃもう。70代主体の客層が一気に20代になるんで。出すネタも変えますよ。でも僕、お年寄り好きなんですよ。小さい頃から婆ちゃんと一緒に『笑点』(日本テレビ系)とか見てたので、下町の笑いが好きなんです。

――お話を伺っているとお人柄が伝わってきて、ほんわかした気持ちにさせられます。昨今のお笑いは毒舌や下ネタが多いですが、ねづっちさんの笑いは違いますね。

ねづっち もともとが攻撃的な人間じゃないんで(笑)。でも、爆笑さんとかの毒舌も大好きなんですよ。ただ、僕の内面から出てくる笑いとは違うということだと思います。

――今後はどんな方向を目指されますか?

ねづっち なぞかけで注目していただくのはうれしいんですが、やっぱり本ネタの漫才を見ていただきたい。まだ結成6年目ですので、幸いにもM-1のエントリーもできますからね。

――最後に図々しいお願いなんですが、「サイゾー」をお題になぞかけをしていただくことは......?

ねづっち はいはい。これですね。(雑誌「サイゾー」を5秒ほどパラパラめくりながら)整いました!

――え? 早!

ねづっち 2つできたんですけど。

――一瞬で2つも。両方聞かせてください。

ねづっち サイゾーと掛けまして、ケーキ屋さんと解く。その心は、どちらも記事(生地)作りにこだわってます。ま、ちょっとベタですけど(笑)。

――いやいや、この速さにはびっくりです。

ねづっち では、もうひとつ。サイゾーと掛けて、突然好調になったバッターと解く。その心は、打ちまくって(内幕って)どうなってるの?

――すご(笑)! お後がよろしくなったところで、今日はありがとうございました。
(文=浮島さとし)


●ねづっち
本名・根津俊弘ねづ・としひろ)。1975年東京生まれ。東洋大学卒。サンミュージック所属時代に大先輩のブッチャーブラザーズの紹介で漫才協会入会。友人と数年間コンビを組んだ後、現在の事務所「プロデューサーハウスあ・うん」へ移籍。04年に木曽さんちゅうと「Wコロン」を結成。なぞかけ漫才を得意とする。特技は柔道(二段)。トレードマークはタータンチェックのジャケット。微妙に色が違う二色を密かに使い分けている。インターネット放送局『あっ!とおどろく放送局 みんなの願いを叶えたい!』(http://odoroku.tv/atto/negai/)にレギュラー出演中。
公式ブログ <<u>http://gree.jp/nezucchi>


【Wコロン出演のライブ予定】
2月18日(木) ナイツとWコロンのトークライブ 浅草IN阿佐ヶ谷(開演19:30)/阿佐ヶ谷ロフトA
2月22日(月) しんじゅく杯争奪東京笑い者(開演18:30)/ミニホール新宿Fu-
3月18日(木) なぞかけナイトvol.3(開演19:30)/阿佐ヶ谷ロフトA
詳細は、所属事務所HPにて <<a href="http://www.ph-aun.com/"target="_blank">http://www.ph-aun.com/>



【関連記事】 「星を継ぐ者」古臭さを武器に変えた浅草最強の新世代 ナイツ
【関連記事】 「お祭りが終わっただけ」 芸歴13年目のダンディ坂野が自身のブレイクを語る
【関連記事】 崖っぷち!? ムーディ勝山、新ネタ引っさげ魂の叫び「テレビに出たいっ!」