インパルス、タイムマシーン3号、ドランクドラゴン
8月31日、コント日本一を決めるお笑いイベント「オロナミンCキングオブコント2010」の決勝進出者が発表された。合計3,009組の参加者の中から見事に決勝進出を果たしたのは、エレキコミック、キングオブコメディ、しずる、ジャルジャル、TKO、ピース、ラバーガール、ロッチの8組。
決勝進出者が発表される前日まで、8月29日・30日の2日間にわたって、東京・赤坂BLITZにて準決勝が行われていた。計68組の芸人が、持ち時間4分で次々にコントを披露していった。
この2日間のMCを務めたのは、「R-1ぐらんぷり2010」の覇者でもあるピン芸人のあべこうじ。「どうする? みんなでカラオケ行く?」と、軽快な話術で会場を盛り上げていた。ネタバレを避けるべく、惜しくも敗れてしまった芸人の紹介を中心に、2日に分けて行われた準決勝の模様を解説していきたい。
・8月29日(日)1日目
この日のトップバッターは、2年前に決勝進出の経験を持つ2700。リズムネタを得意とする彼らが繰り出したのは、「ひじ」をテーマにした奇妙な歌とダンス。「右ひじ左ひじ交互に見て」という意味不明なサビのフレーズが繰り返されるたびに、笑いが増幅していった。リズミカルな芸風で、一番手としてきっちり場の空気を温めてくれた。
その後に出てきた芸人については、ジャンルごとにまとめて語っていこう。まず第一に注目したいのは、トリオ芸人の健闘である。
第二に特筆すべきは、関西勢の台頭である。過去の大会では、キングオブコントの予選は東京と大阪の2つの会場で行われていた。だが、今年は東京会場のみに変更された。そのことによって、全国的にはまだあまり知られていない関西芸人たちが、続々と東京の準決勝に名乗りを上げてきたのだ。
アイロンヘッドは、関西人の「おっちゃん」が、流れ星を力ずくで止めて願い事を叶えてくれる、という不思議な設定のコントで客席を沸かせた。また、学天即は、葬式のマナーを知らない男が、全身を黒く塗って葬儀の席に現れ、非常識な行為を連発するというネタを演じた。ツッコミ役の奥田修二の言葉が切れ味抜群で、彼が説明的なツッコミを一言加えるたびに大きな笑いが起こっていた。また、今年3月に「NHK上方漫才コンテスト」で優勝を果たして勢いに乗る銀シャリも、出前を取ろうとする男ととぼけた配達人の掛け合いによるコントで場を盛り上げた。
最後に、昨年の決勝経験者たちの活躍も見逃せない。インパルスは、私欲をむき出しにしてニュース番組に出演する男性キャスターを板倉俊之が熱演。モンスターエンジンは、西森洋一が不気味すぎる自動車教習所の教官を演じた。また、天竺鼠は、川原克己が妻と口喧嘩をする夫の役で、最初から最後まで支離滅裂な言動で自由自在に暴れ回っていた。いずれも、強烈な個性を持ったボケ役が引っ張っていくタイプのコントを演じて、爆笑をさらっていた。
だが、何と言っても、この日一番の爆笑が起こっていたのは、ジャルジャルのネタである。彼らが見せたコントは、持ち前の演技力と発想力を最大限に生かした、いかにもジャルジャルらしいものだった。井筒和幸監督の映画『ヒーローショー』にも出演を果たし、役者としての経験も重ねた彼らが、コントの世界でも順調に成長しているのがうかがえた。
(2日目に続く/文=お笑い評論家・ラリー遠田)
●「キングオブコント2010」決勝進出者(ネタ順)
TKO
ロッチ
ピース
キングオブコメディ
ジャルジャル
エレキコミック
ラバーガール
しずる
【関連記事】
『キングオブコント2009』に見る"お笑い賞レースブーム"の問題点
「キングオブコント2009」M-1王者との一騎打ちを制した東京03の戦略
サイゾーテレビ【ニコニコキングオブコメディ】アーカイブ集