毎日、テレビを点けるたび、見慣れた芸人やタレントがクイズをしたり、ゲームをしたり、ひな壇でしゃべったり、逃走したり......どの番組でも、どの企画でも、似たような顔触れが登場している。
思えば、かつてはクイズ番組も素人参加のものが多かったのに、今は『パネルクイズ アタック25』(朝日放送)のほか、『クイズ! ヘキサゴンII』(フジテレビ系)にわずかに素人枠がある程度。
また、往年の『風雲!たけし城』(TBS系)などをはじめ、素人がチャレンジしているだけなのに、いや、素人だからこそ、腹がよじれるほど笑い転げた番組というのもかつては多数あったはずだ。
いったいなぜ素人参加番組がほとんどなくなってしまったのか。
ある放送作家は、素人番組の減少について言う。
「『電波少年シリーズ』(日本テレビ系)が終わった頃ぐらいから、確かにタレントの企画しかなくなってきていますね。素人関係の番組は、視聴率が全然取れないんですよ」
テレビの「ヤラセ」が問題視されたり、"ドキュメントバラエティー"というジャンルが確立されたのもこの『電波シリーズ』あたりから。
現在でも同じようなドキュメントバラエティー企画は芸人などで行われているし、素人参加でも十分面白くなりそうだけど、やはり肖像権の問題があるのか。そういえば、かつては大人気だった『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)の素人参加企画も、今ではほぼなくなっているし......。
「肖像権の問題は大きいですね。かつての『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』(日本テレビ系)でやっていたような一般の人を巻き込む街中ドッキリ企画は、現在は100%できなくなっています。また、実際、素人参加の場合、お蔵入りになるケースが非常に多いんですよ。承諾書を書いてもらっているのに、後でテレビを見てから『扱いが悪い』と言ったり、編集で面白くしていると『取り上げ方が気に入らない』とクレームをつけてきたりする人が多く、リスクが非常に高いわりには視聴率が取れないのが実情ですね」
その点、同じ企画であっても、芸人など名前や肩書きのある人、知っている人の場合、リスクがなく、さらに視聴者側も安心して見られるというメリットがあるのだそうだ。
「また、素人でもテレビ的に面白い人を探すのは大変なんですよ。たとえば、今でいうと、戦場カメラマンの渡部陽一さんなどは本来タレントじゃないですが、非常にキャラがあって面白いですよね。ああいうキャラのついた人を素人から探すには、莫大なオーディションをやらないといけない、というのが現実です」
たとえば、テーマに当てはまる人々から、強烈な個性・経験・関係を持つ8人(8組)を「1億分の8(イチハチ)」としてスタジオに招く『イチハチ』(TBS系)も、最初は素人で行っていたものの、「フツウの素人では面白くなかった」ため、有名人ばかりにしたところ、断然番組が面白くなったというケースがあるのだそうだ。
だが、芸人・タレントばかりの同じような顔触れというのも、マンネリ感はあるけど......。
「作り手側が諦めてしまっているということはあるかとは思います。実際、テレビ局側では素人参加番組をやりたがっているんですが、企画としてなかなか面白いのは上がってこないんです。素人参加番組で1つ成功例ができれば、『素人もアリなんじゃないか』となって、またどんどん出てくる可能性はあると思います」
リスクを超えた素人参加番組の成功例が出てくることを望む!
(「サイゾー裏チャンネル」より)
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