東京都の「非実在青少年」問題以降、各地の「青少年健全育成条例」は注目を集める存在になった。中でも、特に注視されているのが大阪府の動向である。
大阪府の動向が注目される理由。それは、東京都が「非実在青少年」問題に揺れている渦中に、女性向けエロメディアといえるボーイズラブ(BL)漫画雑誌の規制を行ったことにある。しかし、BL漫画雑誌8冊の「有害指定」を行ったのは、今年4月。実は、府がBL漫画雑誌の有害指定の検討を始めたのは昨年7月からと、都の「非実在青少年」問題よりも早かったのだが、間の悪いことに都の問題と実施時期が被ってしまったわけである。
もともと、大阪府の有害図書指定制度は全国レベルよりも厳しい。性描写など、条例の指定基準に該当する内容が書籍・雑誌ならば表紙を含めた総ページ数の10分の1、もしくは10ページ以上あれば自動的に有害図書になる。ほかの自治体でも、同様に総ページ数で判断するところはあるが、大抵は30ページ以上が基準である。この指定基準に該当する数量を超えたものを自動的に有害図書とする制度は「包括指定」制度と呼ばれており、全国的にはこちらを導入している自治体のほうが多数だ。対して、東京都は審議会に諮った上で個別の雑誌・書籍を指定する「個別指定制度」を取っている。大阪府の場合は両方の併用(4月のBL指定はすべて個別指定)。包括指定の場合、それが有害図書にあたるかどうかは、販売する書店が自分で考えなければならず、ある意味、書店泣かせな制度である(それでも、大阪府、東京都共に「こっちのほうが、間違いない」と主張する)。