麒麟 5度の決勝進出が「M-1グランプリの申し子」をどう変えたか

『かわしまんざいたむらいぶ』
(よしもとアール・アンド・シー)

 12月12日、「M-1グランプリ2010」の準決勝が東京・両国国技館で行われ、決勝メンバー8組が決定した。また、M-1という大会そのものが今年で幕を下ろすということも発表された。

 過去にM-1に出場した人の中には、何度も決勝の舞台に上がった経験を持ち、常にM-1と共に語られるような芸人がいる。2001年の第1回大会以来、通算5回の決勝進出を果たした麒麟は、その代表格だ。

 第1回のM-1で、麒麟が審査員や視聴者に与えた衝撃は大きかった。中川家ますだおかだなど、そこそこ名の知られた実力派芸人が並ぶ決勝メンバーの中で、芸歴4年、ほぼ無名の麒麟は異様な存在感を放っていた。彼らはこの舞台で守りに入らず、堂々と大博打を打った。わずか4分のネタの前半で伏線を張って、後半でそれを回収するという手の込んだ構成の漫才を演じたのだ。

 技術的に未熟な部分も目立ち、点数はあまり伸びなかったが、審査員の1人である松本人志は「僕は今まででいちばん良かったですね」と激賞。このときに確かな手応えを得た彼らは以後、M-1の常連となっていく。

 毎年M-1に挑み、実績を重ねながら、彼らは少しずつ自分たちの漫才スタイルを作り上げていった。それは、川島明が渋い声質を生かしたナレーションや効果音を発して話を進めて、その設定に田村裕が入り込んでいく、というもの。川島が言葉で作り上げた世界の中で、田村は川島に導かれるようにして動き回り、おかしな指令が出るとツッコミという形で不満を漏らす。それは、意志を持った操り人形と人形師が織り成す奇妙なコンビネーションのようだった。この漫才では、「麒麟です」のフレーズでも知られる川島の重低音ボイスと、田村の憎めないキャラクターが最大限に生かされていた。


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