『KAGEROU』(ポプラ社)

 水嶋ヒロの処女作『KAGEROU』が発売された。

 ポプラ大賞の受賞には出来レース疑惑がささやかれたが、取材に対しポプラ社の社員が「本当にすごい作品なんです。

読んでもらえれば分かります」と熱弁していた作品だ。

 ストーリーはシンプルで登場人物も少なく、自殺志願者、臓器売買の男、そして心臓移植予定の少女の出会いが軸。脳移植で人格も乗り移るというSF的な話も展開する。一説には映画化も内定と言われるが、確かに映像にしやすい印象はある。予約だけで初版43万部を超えるベストセラー、さて購入者の反応はどうか。

「命がテーマらしいけど、読んだ後に"だから何?"という感じ。

何を訴えたいのか分からない」

「やたらオヤジギャグが出てきて興醒めするし、ストーリーも薄い」

「行列のできるラーメン屋で3時間並んで、インスタントラーメンを出された気分」

「文字数が少なく、魅力的な世界観もない。文章力が低くライトノベルとしても中途半端」

「この作品のどこに大賞を取る理由があるのか理解できない」

 ネット上の感想文を拾ってみたが、肯定的な内容を見つけるのは非常に困難だ。Amazonのレビューにいたっては、"炎上"とも言うべき酷評のオンパレードになっている。中にはポプラ賞に応募した女性もいて、「私が4年間かけて書いた小説はこんなものよりも劣っていたのか」と嘆いているものもあった。

 一方、水嶋ファンはどうだろうか。デビュー当時から追っかけているという30代女性に感想を聞いてみた。

「私にとってはヒロ君グッズのひとつですから、保存用に2冊買いました。彼が書いたものだと思って読んだので夢中で楽しめました。洋画を小説にした感じかな。さすが天才ヒロ君、満点です!」

 内容の評価とはズレる気もするが、つまりは水嶋に対する好感度で印象も変わってくるということだろうか。逆に言えば、芸能人がいきなり大賞を受賞したという先入観で読んだため評価が厳しくなっているとも言える。

 ただ、ある映画関係者は「ここまで批判が多いとイメージが悪くなってスポンサーがつかないから、映像化の話が頓挫する可能性もある」と危惧している。

 いずれにせよ小説家・水嶋ヒロ(齋藤智裕)はこれがスタート。良くも悪くも多くの人の目に触れたことで、次回作もまた注目されるだろう。批判の声も今後の糧として、俳優業以上に頑張ってもらいたいところだ。
(文=鈴木雅久)



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