潰れそうな大型テーマパークの買収→国内線から国際線への参入→大型旅客機の購入表明→カジノビジネスへの参入......。
これらの点を結ぶことで浮かび上がる両社の狙いとは何なのか?
「HISがハウステンボスを支援すると聞いたときは『なぜ?』という声が業界内でも多数でしたが、カジノ船を運行するとなれば話が通じます」
そう語るのは、航空専門誌「エアワールド」編集長の竹内修氏だ。竹内氏は、HISがこれまで格安旅行の薄利多売で利益を上げてきたビジネスモデルから、中流層から富裕層を睨んだ国際観光ビジネスへの転換を図ろうとしているのでは、と推測する。
「航空ビジネスって派手に見えますけど、原油価格が高騰すれば燃料サーチャージが上乗せされてチケット価格が上昇したり、『9.11』のようなテロが起これば利用客は大幅に落ち込んだりと、不確かな要素が大きいんです。そんな水商売的事情でスカイマークの利用客が減れば、海外旅行をビジネスの柱とする大株主のHISも当然苦しくなるわけです」
つまり、航空会社(スカイマーク)も旅行会社(HIS)も、構造的には水商売的な要素が大きい業態であり、両社がその構造から脱却を試みているというのだ。
「しかも日本国内では若年層の海外旅行離れが進んでいて、これまでこうした層をターゲットに格安航空券を売って成長してきたHISにとって、市場の将来性は期待できなくなりつつあります。そんな中で、勢いのある中国の富裕層を狙って確実に利益が出るギャンブル船を運航し、その流れでハウステンボスに団体客を継続して運び込む。ハウステンボスは事実上、HISの独壇場ですから、宿泊から食事、物販までほぼ独占できる。今も湯布院(大分県)などは中国人観光客が多く、すでに下地はある。形になれば大きなビジネスになるでしょう」