コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像"
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"復讐バイオレンスもの"として甦った『トゥルー・グリット』。
作品の知名度に頼った近年の安易なリメイクブームに対して、
コーエン兄弟は現代的テーマを浮かび上がらせることで一線を画している。
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 暴力と金に支配された現代社会をシニカルに描いた『ノーカントリー』(07)で2008年のアカデミー賞作品賞&監督賞&脚色賞を受賞したコーエン兄弟。同じ価値観を共有する兄弟がタッグを組むことで、年々激しさを増すハリウッドのコマーシャリズムの濁流に抗い、独自の道を歩んでいる。自分たちのアイデンティティーである1960年代のユダヤ人ファミリーを主人公にした半自伝的コメディー『シリアスマン』(現在公開中)に続いて、新作『トゥルー・グリット』では米国人のアイデンティティーである"西部劇"の名作『勇気ある追跡』(69)をリメイクした。『ノーカントリー』が"現代の西部劇"と称されただけに、『勇気ある追跡』の現代的なリメイクはまったく違和感がない。19世紀末の開拓期に起きた殺人事件の顛末を、いつものコーエン兄弟らしくシニカルに描き出している。撮影時13歳だった新人女優ヘイリー・スタインフェルドの健気さと、『クレイジー・ハート』(09)で名優の評価を取り戻したジェフ・ブリッジスの妙演もあり、コーエン兄弟史上最大のヒット作となっている。


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