恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』

恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』
演奏力に難があるものの、"理想の女性"ラモーナへの愛情パワーで、
スコット(マイケル・セラ)はバンドバトルを勝ち抜いていく。
(c)2010universal studios.AII RIGHTS RESERVED

 真実の愛を求めて、さまよい続ける現代のピルグリム(巡礼者)たちの物語である。表向きはアクションコメディというスタイルをとっているが、ギャグと恋愛バトルの狭間に意外な深遠さが潜む。小難しい心理学用語や哲学用語を使うことなく、もっと身近なロックやビデオゲームをモチーフに、生身の人間を愛するがゆえに悩み、傷つきながらも、現実の世界に向き合うことを覚えていくオタク青年たちの姿が描かれる。それがエドガー・ライト監督の『スコット・ピルグリムvs.邪悪な元カレ軍団』だ。『スーパーバッド 童貞ウォーズ』『JUNO/ジュノ』(07)でヘタれ青年を演じたら全米いちの座に輝いたマイケル・セラを主演に起用し、レディオヘッドのプロデューサーとして知られるナイジェル・ゴッドリッチが音楽を担当、主人公たちのバンドの劇中曲をベック(ベック・ハンセン名義)が作曲。ゴージャスな"サブカル・オペラ"とでも称すべき世界が広がる。

 エドガー・ライト監督というと、ゾンビ映画に胸いっぱいの愛を注ぎながらも、ダメ男同士の泣かせる友情ものに仕立ててみせた『ショーン・オブ・ザ・デッド』(04/日本ではDVDスルー)で注目を集めたイギリスの俊英。続く『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』(07)は、『男たちの挽歌』(86)、『ハートブルー』(91)といったB級アクション映画への限りない愛情の結晶体として作られ、国籍を問わず世界中で大ヒット。08年に日本でも遅ればせながら劇場公開された。その後、"映画オタク"の兄貴分であるクエンティン・タランティーノ監督の豪邸に居候するなど米国で活動するようになり、本格的ハリウッド進出第1作となったのが『スコット・ピルグリムvs.邪悪な元カレ軍団』。本作にもB級映画と同じくらいエドガー監督が大好きなロック、コミック、ビデオゲームへのディープな愛が隅々にまで詰まっている。川島なお美の体はワインでできているそうだが、エドガー監督は骨の髄までサブカル魂が宿っているのだ。


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