"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』
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地下世界"アガルタ"を旅するアスナ(声:金元寿子)とシン(声:入野自由)は
異形の神"ケツァルトル"に遭遇する。
(c)Makoto Shinkai/CMMMY

 アニメ界の物静かな革命児・新海誠監督。29歳のときに発表したデビュー作『ほしのこえ』(02)は、脚本・作画・編集と全てひとりで手掛け、アニメーション=大人数を仕切って商業ベースで作るもの、というそれまでの常識を大きく覆してみせた。その後、『雲の向こう、約束の場所』(04)、『秒速5センチメートル』(07)ではスタッフの人数は増大したものの、"セカイ系"とも呼ばれる独自の作家性は薄れることなく、しっかりキープしている。新海作品は一貫して、"心の距離"がテーマだ。太陽系外にまで行ってしまった同級生の女の子と携帯メールでやりとりをする『ほしのこえ』をはじめ、新海作品の優しい主人公たちは、離ればなれになってしまった、かつて心を共鳴させあった相手を想い続ける。4年ぶりの劇場公開作『星を追う子ども』では、主人公・アスナの初恋の相手・シュンは、若くして死後の世界へと旅立った。"死"という重い現実が2人の間を大きく隔てる。それでもアスナは、もう一度シュンに逢いたいと願う。アスナは地下に隠された黄泉の世界へと降りて行く。

 モノローグが多用される穏やかな印象の強い新海ワールドだが、今回は壮大さを極めた大冒険ファンタジーとなっている。たった1度逢っただけのシュンのことが忘れられない中学生のアスナは、死んだ妻を想い続ける教師のモリサキと共に、"アガルタ"と呼ばれる地下世界へと向かう。それこそ三途の川を渡って。"アガルタ"には人類が失ってしまった英知が今も残され、どんな願いも叶うという。アスナとモリサキ、さらに死んだシュンと瓜二つの弟シンが交わり、異形の神々ケツァルトルや闇に生息する夷族たちと遭遇しながら、秘境の果てを目指して進む。


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