この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』
拡大する(全3枚)
田舎の女子中学生ユーキ(大場はるか)がハンディを乗り越えて、
ダンス特訓に励む『あぜみちジャンピンッ!』。
浜崎あゆみへの楽曲提供で知られる長尾大(D・A・I)が
音楽を担当。(c)アイマックス

 15歳の少女・ユーキは、自分の胸の中で何かが弾けるのを感じた。繁華街の大型ビジョンから、プロのダンスチームのPVが流れるのを見た瞬間のできごとだった。ユーキは聴覚障害があり、そのときどんな音楽が流れていたのかは分からない。でも、ダンサーたちがリズムカルに自分の体を自在にしなやかに動かしている姿が、ユーキの中でずっと眠っていたものを目覚めさせたのだ。ユーキはさっそく大型ビジョンで流れていた人気ダンスチーム"RIP GIRLS"のDVDを手に入れ、自宅で視聴する。音が聴こえないので、ボリュームをMAXにした上でスピーカーを直接床に置き、体でその振動を感じる。これだ。ユーキがずっと探していたものは、このビートなんだ。うれしくなったユーキは、見よう見まねでDVDの映像に合わせて体を動かす。ユーキは自分の体が初めて自分のものになったような気がして、笑いが止まらない。新潟県魚沼地方を舞台にしたダンス少女の青春ストーリー『あぜみちジャンピンッ!』はこうして始まる。

聾学校の校舎の屋上でクラスメイトたちと
昼食を摂るユーキ。ダンスに夢中なユーキは、
友達の手話が目に入らない。

 ユーキは母ひとり娘ひとりの家庭で育った。母が懸命に働いてくれるお陰で、生活自体には不自由していない。聾学校は小学部と中学部が併設されており、クラスメイトたちは小学部からずっと一緒で、みんな仲良しだ。ユーキは小学部の子どもたちの面倒見がいいと先生たちの評判もいい。でも、優等生のユーキはずっと何かが足りない気がしていた。それは父親がいないせいか、聴覚障害のせいか、田舎で暮らしているせいなのかはよく分からない。ダンスに目覚めたユーキは、近所の空き地でラジカセを鳴らしながら練習している女の子たちのアマチュアダンスチーム"Jumping Girls"の様子を遠くから眺めるようになる。彼女たちは障害を持たない普通の女の子たちのダンスチームだ。ユーキは眺めるだけで、それ以上は距離を縮めることはできずにいた。ある日、不思議なことが起きる。Jumping Girlsのリーダー・麗奈が「ダンス、好きなの?」とユーキに声を掛けてきたのだ。麗奈はなぜか手話ができた。麗奈に手を引かれたユーキは、みんなの前で一度見ただけのダンスを再現する。頭でなく、体で動きを覚えるユーキは飲み込みが誰よりも早かった。かくして、ユーキはJumping Girlsの一員に迎え入れられる。家庭や学校以外で初めての仲間ができた。ユーキはうれしくて、たまらない。ユーキの前に広がる田んぼがキラキラと輝いて見える。


この記事の画像

「この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』」の画像1 「この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』」の画像2 「この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』」の画像3