【シリーズ・震災遺体(上)】釜石市、市長たちが語る遺体安置所の光景

 松岡は語る。

「初めは愕然としました。しかし、犠牲者を泥だらけのまま、ここに放置しておくわけにいきません。なんとか家族のもとへ返してあげたい。そういう思いで、3体ずつダンプカーの荷台に載せて遺体安置所へ運びました。しかし、次から次に運ばなくてはならない遺体は増えてくる。一体いつになれば終わるのかという思いでした」

 一方、遺体安置所では急ピッチで死体検案や身元確認作業が行われていた。

 この時、70歳になる一人の男性が遺体安置所を訪れる。千葉淳だ。彼は民生委員として避難者の支援を行っていたが、膨大な犠牲者が運ばれていると聞いて遺体安置所に駆けつけたのだ。

 そこで目にしたのは、体育館の床に隙間もなく並べられた遺体だった。どの遺体も死後硬直し、助けを求めるように手が曲がっていたり、苦しそうに口を開けていたりしていた。家族がこれを見たらどう思うだろうか。

 千葉は3年前まで地元の葬儀社で働いていた。自分ならば、遺体の尊厳を守り、家族に引き渡してあげられる。

 そう決心すると無償のボランティアとして遺体安置所の管理人をすることになった。

 千葉が行ったのは冷たくなった遺体に声をかけることだった。生きていた時と同じように声をかければ死者は尊厳を取り戻す。

 毎朝5時半に遺体安置所へ行くと、千葉は一体ずつドライアイスを取り換えながら声をかけた。

「昨日は寒かったね、ごめんね。でも、今日こそ家族が見つけに来てくれるからね。それまできれいでいるために少しだけ辛抱してね」


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