【シリーズ・震災遺体(上)】釜石市、市長たちが語る遺体安置所の光景

 千葉は涙にむせびながら当時をふり返り、松岡は奥歯をかみしめてうつむいていた。生後54日の赤ちゃんを失った夫婦も客席にすわり、涙を流していた。

 その前で、野田市長は次のように話した。

「ああいう状況下では、行政にできることは限られています。遺族や犠牲者の尊厳を守ることまで手が回らなくなってしまうのです。また、ルールとしてできることも限られています。しかし、今回の震災では遺体安置所にかかわった一人一人の〈思い〉が足りない部分を補い、傷ついた遺族を支えました。こうした〈思い〉こそが、被災地の復興において非常に大切なことになってくるのです」

 あと1カ月強で、被災地は一周年を迎えようとしている。だが、今でも月に何体も遺体が見つかっている。それをささえているのが、地元の人たちの一人一人の〈思い〉なのである。

 現在、野田市長は仮設住宅などのインフラを整える一方で、ことある度に遺体安置所の光景が書かれた『遺体――震災、津波の果てに』を読むように勧めているという。先日は岩手県知事にも勧めた。

 被害者の心の復興のために必要な〈思い〉を考えてほしいからだという。

 テレビや新聞は、遺体の尊厳ということに、ずっと目をつぶりつづけていた。

 しかし、被災地では一年が経ち、尊厳についてもう一度考え直そうという動きが生まれつつある。

 被災地以外の地域に暮らす人々も、今だからこそ改めてそのことについて考えていかなければならない。


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