
いったい、どんな理由で顔射まであるマンガ単行本を、18禁にしなかったのか? 前回(※記事参照)触れた、7月に東京都に「不健全図書」指定された、しろみかずひさ『なぶりっこ マリカとアキコ』(青林堂)の一件をさらに追った。
この件が特異なのは、同人誌としては18禁マークを付けて売っていたのに、なぜか商業出版ではマークを付けずに発行してしまったこと。その理由についていろいろ考えてみても、「危機感が欠落している」ことくらいしか思いつかない。やはり、当事者の意見を聞かねばなるまい。
まず、取材したのは出版元の青林堂だ。担当者は、“マルセイ(成人指定)”に慣れていなかったと繰り返す。
「これまで、あまりこうした本を出版していなかったので、印刷所や取次にも相談をしましたが、判断基準がわかりませんでした。取次からも“それは、出版社のご判断で”と言われましたので。ですので、局部を消していれば大丈夫だと判断したんです」(担当者)
前記事にも記した通り、東京都が「不健全図書」の候補を選ぶにあたって重視しているのは「擬音と体液」である。その点についても知識がなかったのか?
「消していれば大丈夫という判断でしたね。“マルセイ”に慣れていなかったんです。ですので、東京都がダメというのであれば、素直に聞きます。これからは、こういったものには(18禁)マークを付けるつもりですし、今回指定された本もマークを付けて販売する方針です」